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米中冷戦がもたらした東アジア「パワーバランスの激変」を読み切る

注目は「韓国は結局どちらに付くのか」

安倍首相は中国に「宥和的」か

米国が中国と「新しい冷戦」に突入する中、東アジア情勢が大きく動き出した。中国は日本に接近する一方、北朝鮮も2回目の米朝首脳会談の実現に向けて、米国に秋波を送っている。韓国やロシアはどうするのか。

わずか1週間で「東アジアは様変わりした」と言っていいほどの激動である。各国を突き動かしている最大の要因は「米中新冷戦」だ。

 

まず、中国はどうか。

日中関係は2010年9月の中国漁船による海上保安庁巡視船体当たり事件、続く12年9月の尖閣諸島国有化以来、冷え切った関係が続いていた。ところが、日本の首相として7年ぶりの公式訪問となった今回の訪中(10月25〜27日)で、中国側は安倍晋三首相を異例の厚遇でもてなした。

天安門広場には「日の丸」がはためき、習近平国家主席は終始、柔らかな表情をふりまいた。日本側も通貨スワップ協定の再開や第三国での民間経済協力、イノベーション(技術革新)協力対話の開始など「競争から協調へ」の原則で、交流を深める方針を表明した。

中国が日本に対する姿勢を軟化させたのは、米国との対立が険しくなったからだ。米国との貿易戦争が中国不利に展開する中、日本に優しく接して、日米関係に楔を打ち込もうとしている。あわよくば日米を分断し、自由貿易をめぐって中国側の主張に理解を得たい、という思惑だ。

安倍首相が通貨スワップ協定などで協力する姿勢を見せたのは「甘すぎる」という批判もある。たとえば、産経新聞は社説で「日中首脳会談 『覇権』阻む意思が見えぬ 誤ったメッセージを与えた」(https://www.sankei.com/column/news/181027/clm1810270001-n1.html)と批判した。

そういう批判は理解できる。ただ、だからといって、私は安倍首相が中国に宥和的であるとは思わない。安倍首相は首脳会談で「日本の外交・安全保障は日米同盟が基軸」と念押ししたうえで、国有企業に対する補助金や知的財産権問題で中国に改善を求めた(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_004452.html)。

とりわけ、首相が「日本と中国は互いに脅威とはならない」点を強調し、中国側がそれに異を唱えなかった点は重要だ。中国には、尖閣諸島周辺での状況改善も求めた。もしも、中国が尖閣諸島に攻め込むような事態になれば、中国の「無法行為」が明白になる。

日本は北朝鮮による日本人拉致問題の解決で、中国の協力を求めている。米中対立が険しくなる中、日米同盟を基軸とする日本が中国とパイプを繋いでおくのは、米中双方に対して日本の存在感を高めるうえでも重要だ。

いずれにせよ、中国は日本に接近している。これが1点。

安倍首相が中国から帰国すると、直ちにインドのモディ首相が来日し10月29日、首相官邸で安倍首相と会談した。両首脳は日本とインドが外務・防衛閣僚会合(2+2)を新設し、安保防衛協力の強化で合意した。

インドは中国のインド洋進出や巨大経済圏の形成を狙った「一帯一路」構想に警戒感を強めている。インドは伝統的にどの国とも同盟関係を結ばない「非同盟」を貫いてきたが、ここへきて、米国と9月に「2+2会議」を開き、今回の訪日で日本とも一層距離が縮まった。

インドも日本と「対中警戒感」を共有している。

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