過去最高の「株爆買い」…日銀はどこまで日本株を買い占めるつもりか

バブルが限界に近づくなかで

日本銀行が金融緩和で演出してきた「日銀バブル」もいよいよ限界に近づいているのか。たび重なる「世界同時株安」で株式市場が揺れるなか、世界の先進国では”禁じ手”である中央銀行による株買いが、日本ではひそかに加速している。

日銀の動向を取材してきた新聞記者で、『日銀バブルが日本を蝕む』を著した藤田知也氏が警鐘を鳴らす。

 

日銀の「株買い」が過去最高に

株価が乱高下を繰り返す裏で、日本銀行による”株買い”が加速度を上げている。

日銀が緩和手段の一つとして買っているのは、ETF(上場投資信託)という金融商品の一つ。株価に連動するよう組成されたもので、日銀が大量のETFを買うことは東証1部の銘柄を広く薄く買うのに等しい。

中央銀行が株を買うこと自体が異様なのだが、それを景気指標が改善する間に漫然と続けるのは、世界の先進国を見渡しても日銀のほかに類例がない。

もともと日銀は、金融不安がくすぶった2000年代初めに銀行の保有株式を買い受けた経験があるほか、リーマン・ショック後の景気刺激策として2010年秋にETF買い入れを開始。東日本大震災や円高の悪影響も重なり、買い入れ額は最大で年5000億円程度になった。日銀の株買いは非常事態への対抗策だったが、それでも導入時から株価をゆがめるとの批判は少なくなかった。

ところが13年春に黒田東彦総裁を担いだ日銀は、“異次元緩和”の名のもとに、国債やJリート(上場不動産投信)に加え、ETFも年1兆円ペースで買い入れを開始。物価目標達成までの2年程度の期限付きだったはずの措置は、14年10月の追加緩和で年3兆円、16年7月には年6兆円と、景気指標が改善する間に気前よく拡大されて5年半超にも及ぶ。

そして今年10月のETF買い入れ額は、8700億円に達した。これは単月の買い入れ額としては史上最高額となる。

買い入れ額は年6兆円ペースと定めているが、実際には午前中に株価が下がると、午後になって買い入れに動くというのが基本的な運用パターンだ。そのため、株価の上昇が続くときは買い入れ額が減り、株価が下落に転じると買い入れ額は膨らみやすい。

7月末に微修正された金融政策の方針では、ETF買い入れ額は「市場の状況に応じて上下に変動しうる」との一文が盛り込まれた。従前から黒田総裁が説明していたことだが、わざわざ文面で強調したのは「減額に向けた布石か」との見方が浮上し、実際に8月は買い入れ額が1000億円台に縮んだ。

しかし、10月は一転、株価が大幅に値下がりした影響で買い入れ額は大きく膨らんだ。

日経平均は10月初めに約27年ぶりの高値となる2万4000円台をつけたが、その後はつるべ落としのように下落を続け、後半には一時2万1000円を割り込むなど最大で3000円超も値を下げた。後に引けない日銀は、定石通りにETFを買わざるを得なかった。

株安の背景には、米国での長期金利の上昇に加え、トランプ政権が仕掛ける米中貿易摩擦の激化がある。

先行きはなお見通せないが、日本の景気拡大局面はほぼ丸6年に達し、米国はそれより長い9年超に及ぶ。景気改善は永続しないというのが経験則であり、来年以降に景気が後退局面を迎えるとみる専門家は少なくない。景気が後退局面に入れば、日銀の株買いも際限なく加速しかねない、ということだ。