譲渡条件をクリアしても出戻ってきた犬

40代の女性にチワワを譲渡したケースを紹介しよう。女性は独身だったため、犬を飼える実家を保証人に立ててもらい、小型犬1頭ならいつでも預けられるので大丈夫、ということで譲渡に進むことになった。日中は仕事で留守番時間も長いので、比較的マイペースな7歳の成犬に決まった。

ところが譲渡して数年経過し彼女から連絡があった。「失業して経済的に厳しいので、譲り受けた犬を手放したい」という。飼えなくなったら実家に託す約束だったが、その後実家環境が変わり、親から兄弟に世帯主は変わっていた。どうも話から兄弟は犬を飼育を望んでない様子だ。このまま犬が行った場合に幸せになれる保証がないため、再度譲渡先を探すことに。でも、最初の譲渡の頃よりも犬の年齢が上がっていたため、次の譲渡先を探すのにはとても時間がかかってしまった。

彼女は非常に慎重に、譲渡条件も理解をして犬を引き取ってくれていた。でも、これが動物と暮らす現実でもあるのだ。今、犬を飼いたい、猫を飼いたいと思っているときは、仕事もあり、家族もいて、健康であっても、それが続く保証はない。「そんなことを言ったら、犬と猫と暮らすことなんて誰もできないじゃないか」と言われるかもしれないが、突き詰めると究極はそうなのかもしれない。「自分の今の状況が続くとは限らない」ということを理解して、動物を飼うことを決める、というプロセスが今の日本では不足していると感じている。

飼育放棄した原因が「譲渡条件」

ペットフード協会の2017年の調査によると、動物愛護団体など保護犬の存在を知りながらもそこから入手しなかった理由は、「審査手続きがわかりにくく面倒になったため」が24.0%もいることがわかった。他に、「高齢のため」13.7%が多かった。

動物愛護団体の譲渡の条件の一例を挙げると下記の部分が必須な団体は少なくない。私が運営する団体でも活用している条件でもある。

・60歳以上のみの世帯へは譲渡しない

・継続した収入源のない家庭へは譲渡しない

・単身者の場合は血縁者の後見人が必要

他にも細かな条件を出しているところもあるが、基本は上記の3点が重要と言われている。はたして、この3つの条件は、厳しすぎるのであろうか? もちろん、上記の条件の方でも動物を大事にし、生涯責任を持って育ててくれる方はいるのはわかっている。こういった条件をつけることを差別的だと思われる方がいるのもわかる。が、これらの条件は漠然と決まったのではなく、動物を飼育放棄する人から放棄した理由を聞き取り、その理由で上位にあがったものが選ばれているのだ。

譲渡会の開催団体ごとに規約は異なるが、譲渡規約設け、きちんと飼育できるか書面でやり取りするところも多い。

年齢制限があるのは、動物も長生きをするからだ。20年以上長生きする犬猫も増えていて、60歳で仔犬や仔猫を迎えれば、80歳のときに犬猫も老後を迎える。同じときに人間も動物も病気が増え、介護が必要になる。そういった状況を考え、私の団体では60歳を制限としている。