保護犬・保護猫への関心は高まっているが、譲渡条件の厳しさに面倒臭さや憤りを感じる人も多い。なぜ、譲渡条件は存在するのか、その意味を知ることが必要だ。写真/山内信也

保護犬猫「独身男性、60歳以上には譲渡できません」の真相

独身でも大丈夫なことだってある

週末を中心に各地で開催されることが増えた保護犬や保護猫の譲渡会。夏には、新宿の大手百貨店の京王百貨店が『みんなイヌ みんなネコ』というイベントで譲渡会を行った。数年前に比べると驚くほど、開催数、開催する動物愛護団体が増加し、小さな規模で行っているものも含めると、その数は把握できないほどだ。

そのおかげが「ペットショップではなく保護犬や保護猫を」という選択も増えているが、前回の記事でご紹介したように、ペットショップで購入する人のほうが圧倒的に多い

その理由のひとつとして「保護犬・保護猫の譲渡条件の厳しさ」をあげる人は少なくない。今夏、人気YouTuberのHIKAKIN氏がペットショップで猫を購入したことが炎上した際にも、「影響力ある人は保護猫を飼うべき」、「独身男性は保護猫を譲渡することができない」、「厳しすぎる譲渡条件がゆえにペットショップしか選択肢がない」といった意見がtwitterでも多かった。

確かに、各団体が掲げている譲渡条件は厳しいものもある。独身や賃貸にはクリアできない条件も多い。なぜこういった譲渡条件が存在するのか。10年以上、多くの動物たちの譲渡を行っている、一般社団法人ランコントレ・ミグノンの友森玲子さんに、動物譲渡の現状を教えてもらった。

 

保護動物と譲渡条件の関係とは!?

ここ1~2年、動物譲渡の環境は大きく変わってきた。私が活動している保護団体でも、毎月第2日曜日と第4土曜日に譲渡会を開催しているが、以前よりも問い合わせや来場される方の数は倍近く増加している。また、メディアの取材も以前は、犬猫系などの動物雑誌や番組が多かったが、最近では、一般雑誌で「保護動物の記事を作りたい」、「譲渡会って何?という取材をしたい」という依頼も続いている。また、譲渡会を絡めたイベント開催のお話をいただくことも増えている。

ミグノンでも月に2回譲渡会を開催。預かりボランティアにケアされている保護犬・猫が一同に集まる。撮影/山内信也

しかし、過去に比べれば譲渡数は増加しているが、増え続けるペットショップに迫る勢い、というわけではない。なぜ、譲渡数が飛躍的に伸びないのか。動物愛護団体からの譲渡をためらう理由として、もっともよく聞くのが「譲渡条件の厳しさ」だ。

最初に、譲渡条件について考えさせられる私が出会った事例をいくつか紹介しよう。

「仔犬じゃなきゃ嫌」という老夫婦

犬を看取ったばかりの老夫婦が「かわいそうな犬を助けたい」と譲渡会にやってきた。譲渡条件で60歳以上は難しいと話したところ、独立した娘さんが保証人になる、ということで譲渡することになった。とはいえ、犬にとって飼い主がコロコロ変わることは望ましくない。また、娘さんの人生もあるだろう。娘頼みだけでなく、自分たちで最後まで看取れるよう中高年の穏やかな犬の中から譲渡を勧めた。ところが、「最後に飼う犬になるので若くないと嫌だ、仔犬がいい」と折り合いがつかず、結局譲渡に至らず帰っていった。

後日、その老夫婦から連絡が来た。あの後、ペットショップで柴犬の仔犬を購入したという。ところが、四六時中鳴いてうるさい。寝不足で自分たちの体調が悪くなったのですぐに引き取ってほしいというのだ。

こちらでは、動物愛護センターからの受け入れで手一杯なのと、そもそも若い犬は年齢的に譲渡できない、と説明したはずなので引き取らない、と拒否をした。そんな無責任な理由では私たちは受け入れられないので、娘さんに預けるべきだと伝えたところ、吠える、噛む、物を齧る、トイレを覚えないで、仕事の忙しい娘にはとても頼めない、とのこと。

仔犬には罪はないがこういった条件で引き取ることはできないので、ドッグトレーナーを紹介するので娘さんが飼うしかないと話をした。