大規模調査でわかった、ネットに「極論」ばかり出回る本当の理由

極端な人ほど、何度も何度も…
山口 真一 プロフィール

極論の持ち主が、最も多く書き込んでいた

筆者は2018年4月、オンラインアンケート調査を実施した。20代~60代の男女約3,000名を対象に、ある1つの話題――ここでは憲法改正――に対する「意見」と、「その話題についてSNSに書き込んだ回数」を聞き、分析したのだ。

図1は、憲法改正に対する意見を、「非常に賛成である」~「絶対に反対である」の7段階で回答してもらった結果を示している。縦軸は人数の割合を示しており、結果は「賛成とも反対ともいえない」という中庸な人が最も多く、35%(3人に1人程度)となっている。一方で、極端な意見の人は人数が少ない。つまり、山型の意見分布となっている。

 

しかしながら、この約3,000名に「憲法改正についてネット上に書き込みを行った回数」を訊ねると、全く異なる傾向を示した。図2はTwitterやFacebookなどのSNSに、先ほどの回答者たちが、憲法改正についてSNSに書き込んだ合計回数の比率を示したものだ。

驚くべきことに、最も人数が少なかったはずの両極端な意見の持ち主、すなわち「非常に賛成」と「絶対に反対」と答えた人たちが、SNS上の書き込み回数で1位と2位を占めたのである。1人当たりの書き込み回数にすると、「非常に賛成である」と答えた人は、「賛成とも反対ともいえない」と答えた人の、実に8倍も書き込んでいることになる。

冒頭の田中辰雄氏らによる実証研究で得られた「SNSの利用は、ユーザの意見の極端化に影響しない」という知見が正しいとすれば、この人たちが「SNSに何度も意見を書き込んでいるうちに、だんだんと極端な意見を持つようになっていった」という可能性は小さいと考えられる。

両極端な意見の持ち主同士は、前提条件が違いすぎるため、対話が極めて難しい。ネット黎明期に唱えられた「ネット上で深く多様な議論が交わされ、それにより社会がよりよく発展する」という理想は失われ、いまやネット上では極端な批判・非難の応酬ばかりが展開されるようになってしまった。

しかしその原因は、「ネットは実社会に比べて攻撃的な人が多い」せいではない。実際には、「極端な意見の人が大量に発信している」のである。

図1 「憲法改正」についてどう思うか
図2 「憲法改正」について、SNS上に書き込んだ回数