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激動の日経平均株価、いまは「割高」か? それとも「割安」か?

最新マクロモデルで「適正値」を試算

日本株は下げ止まったのか

今週に入り、やや持ち直しの動きをみせる日本株市場だが、今後の展開をどう考えればいいのだろうか。

まず、日経平均株価だが、先週の当コラムで紹介したUCLA教授ロジャー・ファーマー氏のマクロモデル(株価と失業率と金融政策変数の間に存在する「共和分」という統計的な関係を利用したモデル)を日本に適用し、日経平均株価の「適正値」を試算してみよう。

先週の繰り返しになるが、このモデルを適用すると、完全失業率、及び金融政策変数と整合的な株価水準を算出することが可能となる。ただし、株価には通常、(上方)トレンドがあるので、その上方トレンドを控除するためにファーマー教授は株価を賃金(GDP統計の雇用者報酬が用いられることが多い)で割り引くことでトレンドを除去している。

悲しいかな、日本の場合、株価に上方トレンドがないので割り引く必要はないが、ここでは、一応、ファーマー教授の方法をそのまま踏襲し、株価を雇用者報酬で割り引いた株価を用いることにする。

また、政策金利もゼロ近傍にはりついている時期が余りにも長いので、金融政策変数としては政策金利ではなく、マネタリーベースの対GDP比率を用いている(なお、米国同様、日本においても、モデルのパラメーターはすべて1%基準で有意であった)。

 

結果は、図表1、図表2の通りとなった。雇用者報酬、及び名目GDPの直近値が2018年4-6月期なので、2018年7-9月期の値は過去の伸び率から予想値を算出し、それを用いた。

2018年7-9月期時点(株価では9月末時点)の日経平均株価(ただし、雇用者報酬で割り引かれている)は、失業率との関係でみると、「均衡値」よりやや上に位置していると推測される。そして、10月に入ってからの大幅な下げによって、日経平均株価は「均衡値」よりも低い位置まで低下した可能性が高いと考える。

ただし、この手のモデルには推定誤差を考慮する必要がある。図表2の上下の点線はその推定誤差を示したものだが、この推定誤差を超えて変動した場合に、初めて株価は割高・割安の領域にあると判断した方がよい。

そこで、まだ判明していない2018年10-12月期のGDP、及び雇用者報酬について適当な予想値を設定した場合、今後、日経平均株価が1万9500円以下まで下落した場合、日経平均は日本のマクロ経済の状況と比較して「割安」な水準まで下がったと判断される(すなわち、反転上昇する可能性が高い)。

そして逆に、日経平均株価が2万5000円まで上昇した場合には「割高」な水準まで上がった(すなわち、反転下落する可能性が高い)と判断される。

これをふまえると、10月に入ってからの下げは、日経平均株価がざら場で2万4000円台をつけてからの下げなので、「均衡値」へのゆり戻しと考えれば特に驚くべき現象ではない。

ただ、2万1000円台で反発しているということは、日経平均が「割安」な水準まで低下しての反発ではないため、明確に下げ止まったかどうかは不明確である(米国株との連動を考えた場合でも、ニューヨークダウが同様に「割安」な水準まで下げての反発ではないため、不明確であることに変わりはない)。

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