「おカネがないから諦める世界」を変えるペイミーの「給与即日払い」

働き方とともに「給料」も自由化しよう
マネー現代編集部 プロフィール

「即日払い」が生む意外なメリット

「Payme」を導入することの企業側メリットは他にもある。求人への応募が増加し、定着率が上がるのだ。

「求人サイトの検索ランキングは、『日払い』が常に上位なんですね。求人広告でも『日払い』や『1日』という言葉が好んで使われる。Paymeを導入している企業の中には、求人応募率が10倍になったケースもあります。

特に、飲食業では月払いに比べて日払いの方が従業員の満足度が上がり、離職率も下がる傾向が強いです」

ただ、Paymeのようなサービスは、HENRYに限らず給与所得者という広い層にかかわる大きな問題だ。語弊はあるが、いわば「将来価値が高くない」人にもリーチする。

例えば、給与を前払いでもらうことで、無駄遣いをしてしまう可能性もあるだろう。パチンコ、その日の飲み代、ソーシャルゲームへの課金……。「給料日まで我慢」する必要がなくなる。貯蓄もしなくなるかもしれない。

「もちろん、アプリの利便性も前払いの魅力も多くの人に訴求できるものだと思っています。ただ、カネ遣いが荒くなるのでは、という指摘については、むしろ逆です。前払い、日払いのほうが、給与の使い方について計画性が高まると思うんです。

というのも、僕自身が東京都蒲田の生まれで、近くに競馬も競輪もパチンコもありました。そういうところにのめり込む人たちって、ひと月分の給与をもらったら、すぐにおカネを突っ込んでしまったりする」

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「それは極端な例ですけれど、僕たちだって給料日になると気が大きくなって使い込んでしまって、すぐに苦しくなるなんてことがよくありますよね。現実には、短い期間で収入を管理できたほうが、おカネについて考える機会も増えるし、計画性は増すんです。

例えば『Paymeで先にこれだけ引き出せるけど、手数料がかかるから止めよう』と考えたり、履歴を見ればどれくらい使ったかも細かにわかる。貯蓄についても、むしろもっと真剣に考えるようになるのではないでしょうか。将来的にはそういう人たちの『資産形成を助けるサービス』にしていきたいんです

 

「給与の自由化」が始まっている

日本人の給与に対する考え方、おカネの使い方を変えていくことも目標だと後藤氏は語る。働き方が自由になっていくなか、給与にも自由化の波がきていると言えそうだ。

例えば、最近流行りの複業(複業)も、ただの副収入に留まらず、いくつかの稼ぎ口を持ってリスクを分散するなど、ライフプランを個人が自分の責任で組み立てていく面がある。どこで働いた給与を、いつ何のために使うかについても、個人が自律的に考えていく時代がきている。

「企業には、社員のおカネの使い方を把握できるメリットもあります。Paymeは勤怠管理や求人媒体との連携も進めていて、そこへの人材のリソースを減らすサービスにもなっています。

また、銀行と協力して口座開設を促したり、求人媒体と提携できれば、そのコストを企業側は削減できる。その分をペイミーの収入源にすることもできるはずです」

給与所得者にとっては、給料の自由化を享受できるサービスであるのと共に、おカネの使い方そのものを見つめ直すよう促すサービスでもあるのは上述の通り。後藤氏は、このような事業を考えたきっかけをこう語る。

「繰り返しになりますが、おカネのせいで解決できない問題をなくしたい。根本はそこですね。そのためなら、他のフィンテック事業や投資業でもよかった。ただ、僕が目の前の問題として解決すべきだと思ったのが、旧来型の給与システムだったんです」