追い込まれる長期収容外国人…「帰るに帰れない人々」をどう捉えるか

これでわかる深刻な問題の構造
望月 優大 プロフィール

収容と退去強制のプロセス

最後に収容と退去強制のプロセスを改めて確認しておきたい。退去強制の手続きは概ね次のような形で進む。また、退去強制令書が発付される前と後とで大きく分けて2種類の収容が存在することにも注目してほしい。

①入管による摘発
②入管が発付する収容令書による入管施設への収容【収容A:最大60日】
③入管による退去強制事由に該当するか否かの審査
④入管による退去強制令書の発付
⑤退去強制令書による入管施設への収容【収容B:法定の上限無し】
⑥出国

以上を見ればわかる通り、入管自身が摘発して、入管自身が退去強制事由に該当するか否かを判断する。それで、終わりである。

裁判官など「行政機関以外の第三者」が退去強制や収容についての判断に関わるという手続きにはなっておらず、国家に摘発・収容される個人が第三者に異議を申し立てるチャンスは基本的に存在しない(※④で退去強制令書が発付された後にその取消の訴訟を起こすことは可能)。

東日本入国管理センターが入る庁舎(茨城県牛久市)

さらに問題なのが、上のプロセスで便宜的に「収容B」と記した退去強制決定後の収容に法定の上限期間が無いことだ。

この点が、記事の冒頭で触れた、収容期間の長期化、つまり指宿弁護士が「数年前までは7〜8ヵ月が普通だったのが、今では1年もありえない」と話していたあのポイントと関わってくる。なぜなら、法定の上限期間が無いということは、入管が自らの裁量、つまり胸先三寸で収容の期間を決められるということだからだ。

 

なお、収容Bが期限の定めの無い収容であることは、以下の入管法上の条文が根拠となっている。「送還可能のときまで」というこのさりげない文言が入管に大きな自由裁量を与えているわけだ。

入管法第52条の5:入国警備官は(中略)退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。

「理屈の上では100年でも収容できるんですよ。だから、以前は入管なりの常識で7〜8ヵ月で仮放免されていたものが、入管のフリーハンドで2年3年収容してみようと思えばいくらでも収容できちゃう。ここに恐ろしいところがある。

刑務所はそんなことはできないじゃないですか。懲役1年だけど最近治安が悪いからこの人は2年入れておこう、そんなことをしたら憲法違反になりますよね。でも入管にはそれができてしまう。とにかく入管の裁量は大きく、ほとんどオールマイティです」