追い込まれる長期収容外国人…「帰るに帰れない人々」をどう捉えるか

これでわかる深刻な問題の構造
望月 優大 プロフィール

多くの人は帰る

ここで「収容」とはそもそも何なのか、その位置付けを簡単に確認しておきたい。

入管施設に収容されるのは、日本に滞在する正規の資格(在留資格)を持っていなかったり、持っている在留資格では認められていない活動(就労など)をしたために、「退去強制」の対象であると入管に認定された(およびその認定の審査中の)外国人である。

つまり、収容の位置付けは、退去強制という行政措置の前段階、準備段階ということになる。したがって、「入管施設への収容」と「刑務所への収容」は、その見た目は似ていても意味が全く違う。後者は罪に対する罰であるが、収容は罰ではないのだ。

 

では、退去強制を命じられた外国人たちは実際どうしているのか。ここまでの文章の流れ上少し驚かれるかもしれないが、実はその多くはすぐに出国をしている。しかも「強制」退去と言いながら自費での出国が95%以上だ。

退去強制を命じられた外国人の多くがすぐに出国していることは「退去強制令書の発付件数」と「送還人員数」とを照らし合わせるとよくわかる。ここ数年のデータを見ると、毎年6〜7000人前後に及ぶ退去強制令書を出された外国人のうち90%以上が実際に送還されている(=出国している)のだ。

ここから言えることは、退去強制を命じられた外国人の多くは実際に自らの国へと帰っているというシンプルな事実であり、それは彼らの多くが「帰ろうと思えば帰れる」状態にあることを意味する(ただし、止むに止まれずギリギリの判断で帰る人々の存在にも留意されたい)。

逆に言えば、長期化する収容の多くは、過酷な収容という仕打ちを受けてもなお「帰れない」人々の問題であるということだ。指宿弁護士もこう語る。

「退去強制令書が出たら多くの人は帰るんですよ。例えば“旅行のビザで入ってきてちょっと働いてやろう”という人は、捕まって収容されて強制退去ということになったら普通は帰ります。(逆に)帰れない人っていうのはそれなりの理由があるんですよね」

入管から「帰れ」と言われて「帰れる人」と「帰れない人」がいる。では帰れない人々は一体なぜ帰れないのだろうか?