きゃりーぱみゅぱみゅ育てた社長の「自分の“いい”を突き詰める」美学

感覚的だからこそ、うまくいく
大竹 慎太郎, 中川 悠介 プロフィール

きゃりーぱみゅぱみゅはアイドルではない?

大竹:それで中田さんときゃりーさんをくっつけたのはどういう意図からだったの?

中川:元々きゃりーは中田くんにやってもらうと決めていました。それで中田君とは前々から「原宿のアイコンっていないよね」っていう話をしていたんですが、きゃりーは原宿のアイドルではなく、アイコンになりえると思ったんです。

大竹:ほうほう、アイドルではなくアイコン?

中川:アイドルっていうのは、元々その子の中にあったアイデンティティとか個性をそのまま伸ばしていくというよりも、応援されて成長していったり、その過程を見せていくことで、作り込んでいくようなものだと思っているんですけど。

大竹:はいはいはい。アイドルとはある種、計算して作り込んでいくものだと。

中川:一方、アイコンっていうのは、元々「アイコンというのはこういうものだ」っていう基準も何もない中で、最初にそのタレントさんの個性やオリジナリティがあるものです。
そこを起点として、例えばきゃりーの場合で言えば、中田ヤスタカとか増田セバスチャンとかPV監督とか、色んなスタイリスト、スタッフ達と一緒に、きゃりーのオリジナリティとか個性を引っ張り合って作りだしていくという感覚なんです。

大竹:プロデューサーが頭ごなしに色々な方針を決めてその方向に向かってゴリ押しでやっていくというものではなくて、タレントさんの個性が先にあって、それを皆が一緒に作り出して、引っ張りながら広めていくものがアイコン?

中川:そうですね。最初に自分たちの“いい”という感性が先にあって、そこから自然発生的に生み出していくものですから、そこにはオリジナリティしかなくて。その個性をかわいいとかかっこいいとか、“いい”って共感してくれる人の数が増える過程でアイコンになっていき、それが後にカルチャーにまで発展していくというイメージですよね。

 

個人的な“いい“という想いが世界を変える

大竹:なるほどなー。今までのあーみー君の話を聞くに、そこに共通しているのは全部、マーケティングとか市場調査とかではなく、極めて個人の感覚的な“いい”と思う部分からすべてを始めているところという感じがするよね。

中川:その意味で言うと僕は何事も感覚的じゃないと上手くいかないと思っていますね。マーケティングとか市場調査っていうのもあまり好きじゃなくて。だってそういうもので当てられるんだったら、誰もがすべてを当てられるってことになるじゃないですか。

大竹:でも現実にはまったくそんなことにはなっていない、と。

中川:だとしたら逆に、色々考えすぎるんじゃなくて、自然に自分たちが“いい”と思ったことをやっていって、それを広めていくっていう発想のほうが重要な気がしますね。その“いい”が伝播して、共感の輪が自然と大きくなったものがカルチャーそのものですから。
結局自分たちが“いい”と思ったものを市場が受け入れてくれるかどうかは、あくまで結果にしかすぎないものです。だったら僕らにできることは「自分たちが“いい”と思うもの」を突き詰めていくしかないという考え方です。

マネジメントの本質はどこでも変わらない

中川:大竹さんも『起業3年目までの教科書』の中で「盤石な組織カルチャーを構築する方法」を書かれていますが、180人をマネジメントしていくのは大変でしょう?

大竹:その話で言うと、今日のあーみー君の話を聞いて、会社の組織を作っていくというのも、現実のカルチャーを生み出していくのも、基本的な原理というのは共通しているんだなというのをすごく感じました。
みんなが生き生きと働いてくれる会社を作っていくのに最初に大切なのは、「会社のビジョン」であって、そのビジョンって結局は、経営陣の個人的な“想い”に過ぎないもので。それはあーみー君が今まで“いい“と、まことに個人的な感性で思ったものを広めていったのとまったく同じですよね。

中川:確かにそうですね。