Google mapより

摩周湖は、実は湖ではなく「巨大な水たまり」だった

美しい「摩周ブルー」の秘密

日本一の透明度

白神山地や屋久島をはじめ、自然の神秘を感じられる観光スポットは日本各地にある。なかでもぜひ一度は訪れてみたいのが、北海道東部にある摩周湖だ。

「日本でいちばん透明度が高い湖」として知られる摩周湖は、ふだんは深い霧に包まれている。その霧が晴れると、幻想的な光景が目の前に広がる。

摩周湖は不純物をほとんど含まない澄んだ水をたたえる。そして水面はまるで油絵で描いたかのようにビビッドな青に染まっているのだ。

 

なぜ北海道の端のほうにある湖が唯一無二の「青さ」を誇っているのか? 摩周湖は約7000年前の巨大噴火でできたカルデラ湖であり、約211mという日本で五指に入る深さだ。

しかも水底が急激に深くなっていて、また水の透明度も高い。そのため青以外の色の反射が少なくなり、「摩周ブルー」と呼ばれる絶景が形成されるのだ。

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ところで、名称は「摩周湖」であるものの、日本の河川法では「湖」ではない。というのも河川法上、湖とは河川の流入があることが要件とされているが、摩周湖は川につながっていないからだ。

そのため国土交通省の管理下にはなく、湖内に樹木がないため農林水産省の管理下にもない。摩周湖は無登記のまま国に管理されている。言ってみれば、摩周湖は単なる「水たまり」なのだ。

ただ、単なる「水たまり」だからこそ、今日も神秘的な景色を保っていると言える。あたりに降った雨がきれいな土壌に浸透したあと、じゅうぶんに濾過されて流入するため、湖内には有機物が非常に少ない。また生活排水の影響もないため、環境汚染や気候変動で水質が悪化することもない。

ちなみに河川の流入はないが、摩周湖から外へ流れていく「伏流水」は確認されている。降雨があっても、一年を通してそれほど水位が変わらないのはこのためだ。

摩周湖は1月から結氷の季節を迎え、雪景色とサファイアブルーの水面のコントラストがいっそう美しくなる。極寒だが、冬の旅行先候補にいかがだろうか。(嶋)

『週刊現代』2018年11月10日号より