100歳まで幸せに生きるために「受けない方がいいかもしれない手術」

一度立ち止まって考えることも必要
週刊現代 プロフィール

扁桃腺切除で味覚障害に

手術をしてもその後、充実した生活を送れなければ、受ける意味がない。特に食の楽しみを奪われることは大変な苦痛を伴う。物を食べるときに顎が痛くなったり、口が開かなくなったりする症状が出る顎関節症は、手術が必要なのか。

「手術で顎関節症が治ったというエビデンスはありません。体全体のバランスが崩れている場合が多く、手術で噛み合わせを治したとしても、完治は難しい。

それだったら、痛みが出ない程度に顎の体操をしたりして、うまく付き合っていくほうがいいでしょう」(前出・室井氏)

 

都内に住む高田道子さん(71歳・仮名)は扁桃腺肥大の手術により味覚に障害が残った。

「2年前、年に4回くらい39℃超えの熱が出て、喉の痛みが尋常ではありませんでした。その後も微熱が1ヵ月以上続きました。病院へ行くと扁桃腺が腫れているとのことでした。

一番大きな口蓋扁桃を取れば、扁桃全体も腫れにくくなるという医師の勧めもあって、年齢的にはちょっと遅いですが、この機会にと思い、手術を受けました」

しかし、高田さんは術後に食事をすると味覚がおかしくなっていることに気づいた。

「甘いものが苦く感じられるのです。医者には数週間で治ると言われていましたが、治らずに現在に至っています。ケーキを食べてもまるで美味しくない。こんなことなら手術を受けなければよかったと今でも後悔しています」

なぜこのようなことになってしまったのか。

「扁桃腺切除の手術は、口を広げないと手術ができないため、機械で口を開けるのですが、そのときに舌を強い力で圧迫するため、味覚障害が起こることがあるのです」(神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長・浦長瀬昌宏氏)

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日本人の40%が持っていると言われるアレルギー性鼻炎も、手術を勧められたからといって安易に受けると、より症状が悪化する場合がある。

レーザーで鼻の粘膜を削り取り、空気の通り道を広げるのだが、逆に通り道が大きくなりすぎて、息がしづらくなることもある。ストローと同じで広がりすぎると、息を吸うことに、より力が必要になるのだ。

不整脈のためペースメーカーを入れるなど、一見簡単な手術にも注意が必要だ。

「ペースメーカーは胸の筋肉の裏に装着するので、炎症を起こしたり、感染症を起こしたりするリスクも考えられます。脈拍低下による失神やふらつきなどの症状がなければ装着する必要はありません」(前出・室井氏)

いくら手軽に見える手術でも、それによって歩けなくなったり、見えなくなったり、食べられなくなったりすることは十分にありうるのだ。手術を受ける際には「この手術は本当に必要なのか?」と一度立ち止まってしっかり考えてほしい。

「週刊現代」2018年11月3日号より