# 若者 # おっさん

さよなら、若者とおじさんを「分断」する社会【北野唯我×正能茉優】

お互いのこと本当にわかっていますか
北野 唯我 プロフィール

社内政治とは? 「私たち」という主語を抱かせる

北野 いい表現ですね。みなさんの会社には「なのにおじさん」いないですか?

糸川愛美(26歳) います! 私は現在はITコンサルを行うベンチャー企業で働いていますが、前職は大手SIerで法人営業をしていました。そこではとにかく社内政治が多かったんです。ただ良い仕事をしたいだけなのに、おじさんに気に入られなければ仕事が進みませんでした。

正能 でも私、仕事周りの政治とか根回しとかが好きなので、それを聞くとワクワクします(笑)。

北野 どうして?

正能 私がやっている自分の会社の仕事は、中身は素晴らしいけどパッケージがいまひとつな地方の商品を、かわいらしくデザインし直して売るというものです。地域の協力が必要不可欠なので、人の繋がりで道を拓いていくことも多い。でもその人にやりたいことが伝われば仕事が進展するなんて、考えるだけでワクワクしちゃうじゃないですか(笑)。

糸川 確かに、良い仕事するための手段としての政治なら楽しいと思うんですけど、おじさんに「うん」と言わせること自体が目的になっていることが多かったんです。

正能 それは切ないですよね。

北野 本来なら「なのにおじさん」のような年長者は、圧倒的な人脈や交渉力を持っていたりして、若者にとっては非常に心強い存在なはずですよね。

糸川 それが、対立関係になっているので反発し合ってしまう。むしろ、おじさんの経験値と若い人の発想を組み合わすことができたらもっと面白くなりますよね。

北野 では「なのにおじさん」が「根回しおじさん」に変わるポイントはなんだと思います?

正能 「私たち」っていう主語を抱いてもらうことかな。私が上の世代と仕事をさせてもらうときは、「私が面白いこと」じゃなくて、「世の中にとって面白いこと」っていう大義を伝えるようにしています。そうすると、大義を実現するために集まった「私たち」というムードを醸成しやすくなる。

北野 面白いです。そうやって世代間の無意味な衝突がなくなっていったほうが建設的ですよね。

 

若者の欲求は分散化している

田中将輝(25歳) 僕は障害者雇用をメイン事業としているベンチャー企業の3年目社員です。現在は主に人事・採用業務を行っています。

北野 田中さんは、どうして障害者雇用の会社に入ろうと思ったんですか?

田中 もともと仕事内容には全く関心がありませんでしたが、社長の人柄に魅力を感じて今の会社に飛び込んでみました。それこそ就活をしていた時は「夢は何ですか?」って散々聞かれたんですけど、夢なんてないってところが正直なところでした。

北野 「やりたいことをやらなければいけない」というマッチョイズムですね。今の若い人たちのなかには「やりたいことを持たないといけない。でも見つからない」と悩んでいる人は多い気がします。 正能さんはやりたいことを明確に持っているように見えます。

正能 いや、そんなことないです。私、やりたいことがある人っていないと思うんですよ。私は地方を元気にする会社を経営しているけど、ある日突然「地方を元気にしたい!」なんて想いが降って来るわけがない。