知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて

いま、あなたにできることは何か
週刊現代 プロフィール

助かるための準備

水道・ガスが東南海地域で被害が極めて大きくなるのに対し、停電の被害がもっとも大きいと予想されるのは大阪、兵庫だ。停電の件数は、静岡が200万軒、愛知が370万軒であるのに対し、大阪は450万軒、兵庫は300万軒だ。

なぜ、これほど突出してこの2府県が被害を受けるのか。その理由を、前出の和田氏が解説する。

「西日本の発電所及び関連施設は、多くが海沿いにあり、津波で浸水する可能性が高い。加えて、密集する家屋が倒壊することで、送電施設が被災し、広範囲で停電が発生するのです」

阪神工業地帯の中心地である大阪湾の埋め立て地には、多くの火力発電所が並ぶ。古くから、文字通り阪神地方の電力を賄ってきたこの施設が津波に襲われれば、辺りの電力供給は一挙に滞ってしまうのだ。

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交通インフラへの影響もはかりしれない。日本の中心に位置する名古屋には、日本の交通の大動脈である東海道線、東名高速が走っている。これらが長期にわたって寸断されれば、商品輸送に大きな影響を与えることは間違いない。

ライフラインが壊滅した時、交通インフラが復旧しなければ、人員を派遣することはおろか、飲食料などの物資を届けることさえ困難だ。

東日本大震災では高速道路、新幹線はともに完全な復旧に2週間以上を要した。被害が広範囲におよぶ南海トラフ地震では、復旧までに1ヵ月以上かかる可能性もある。

 

総合的な被害は過去最悪の災害となることは疑いようがない。そんななかで、われわれはどのようにして南海トラフ地震に備えればよいのか。前出・和田氏が話す。

「自分の住んでいる地域のハザードマップを頭に入れておくことが重要です。より安全な建物の場所を確認し、最短の移動経路を確認する。素早く対処することができれば、助かる可能性は高くなります」

東海地方の内陸部をはじめ、津波の危険がなくても、大きく揺れる地域はある。このような地域では、屋内の家具などが大きく動き、ケガをするリスクもある。いまのうちに、家具の足元をしっかりと固定しておく必要がある。

また、前述のとおり、被害を受けたライフラインは、復旧に少なくとも数週間を要する。余裕をもって、1ヵ月分の非常食や飲料水を、すぐに持ち出すことができる場所に保管しておこう。

未曽有の大災害はすぐそこに迫っている。それを頭の片隅に置き、いざという時にすぐに行動できるかどうかが、あなたの命運を握っている。

「週刊現代」2018年10月27日号より