知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて

いま、あなたにできることは何か
週刊現代 プロフィール

ビル9階まで津波が

推定発生時期が早まっているのはなぜか。前出・高橋氏が語る。

「現在、ユーラシアプレート上で直下型地震が頻発しています。特に、今年は静岡県西部や浜名湖付近、そして三重、紀伊半島南端などで直下型地震が発生しています。

つまり、現在プレートには強く負荷がかけられている状態です。私の研究によれば、あと2~3年以内に発生する可能性が高い」

 

一刻も早い対応が迫られる状況ではあるが、各自治体の地震への対策はけっして十分であるとは言えない。むしろ、「南海トラフ地震が発生すれば、史上最悪の被害を生む可能性が高い」と、専門家は異口同音に警鐘を鳴らす。

南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの試算によれば、その想定死者数はなんと32万人にのぼる。これは、「過去最悪」と言われた1923年に発生した関東大震災における死者数(10万5000人)の3倍以上だ。

100年前とは違い、建物の耐震・免震化が行われた現在でこの被害が想定されているのだから、その破壊力は計り知れない。

もっとも深刻なのは津波による被害だ。太平洋沿岸部に位置する都市は、2000年に一度の大規模な津波に襲われるリスクがある――。災害時の被害シミュレーションなどを手がける、ハイドロ総合技術研究所の川崎浩司氏が語る。

「南海トラフ地震では、津波による浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方kmを超えると考えられます。静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域も存在する。これは、一般的なビルの8~9階分の高さに相当します」

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東日本大震災では津波の高さは最大で16m強だった。その倍の高さの波が、秒速10mの速度で沿岸部を呑み込む。

浜松市や静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、県内だけでおよそ32万棟が全壊、静岡県内だけで10万人超の死者が出る。これは、全体の犠牲者数の3分の1におよぶ。隣県の愛知県でも、2万3000人もの犠牲が出ることが想定されている。

ほかにも、高知県や小笠原諸島では30m超、三重県では20m超の高さの津波が襲う。