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知らないと命にかかわる…M9南海トラフ地震のすべて

いま、あなたにできることは何か

史上最悪の被害を出した関東大震災からおよそ100年。その3倍以上の死者数が想定されている「超巨大地震」は、眼前に迫っている。自衛のために知らなければならない、その時に起こること。

国民の半分が被災者に

今年に入り、立て続けに大きな地震が発生している。6月には大阪府北部の震度6弱、9月には北海道胆振東部の震度7、そして今月は、千葉県東方沖の震度4で、深夜に鳴り響く「地震速報」に多くの人が驚かされた。

異常ともいえるこの状況を前に、専門家たちが、口をそろえて次の超巨大地震―「南海トラフ地震」が刻一刻と近づいていることを警告しているのをご存じだろうか。

今年2月の文科省の地震調査委員会の発表によれば、今後30年間で、最大M9クラスの「南海トラフ地震」が発生する確率は70~80%だ。

「いつか来る」と言われて久しいこの大地震。政府によって発表される発生確率は年とともに上昇しており、未曽有の大災害は次第に「必ず来る」ものへと、その認識が変わってきている。

この大震災では、茨城県から沖縄県まで、全長2000km以上の範囲が被害を受ける。

政府の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループは、南海トラフ地震を「国難」としたうえで、「国民の半分が被災者になる」とまで想定した。

 

何が起こり、どれだけの被害が出るのか。この巨大地震の全貌を知っておくことが最低限、あなたと、あなたの家族を守ることにつながる。

そもそも、南海トラフ地震はどのようなメカニズムで発生するのか。南海トラフ地震研究の第一人者である高橋学氏(立命館大学環太平洋文明研究センター)が解説する。

「日本の周りには北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの4つのプレートがあります。これらのプレートはぶつかり合い、互いに圧力をかけながら、何年もかけて動いているのです」

プレートとは、地球表層部を覆う一枚の巨大な岩盤のようなものだ。日本周辺に存在する4つのプレートのうち、フィリピン海プレートは、ユーラシアプレートに押し曲げられながら潜り込むように動いている。この二つのプレートの境界線が、南海トラフと呼ばれる。

「二つの大きな岩石の板であるプレート同士が押し付けられ合った結果、負荷に耐えられなくなったユーラシアプレートが大きく跳ね上がる。これが南海トラフ地震です」(前出・高橋氏)

南海トラフは小笠原諸島東部からフィリピン海までのびている。この大きな岩盤が一挙に跳ね上がれば、茨城から沖縄まで甚大な被害を及ぼす超巨大地震となるのだ。

南海トラフにかかる負荷は、およそ90~150年の周期で、地震として「解放」される。過去に発生した南海トラフ地震は、1946年の昭和南海地震(M8)、1854年の安政地震(M8.4)、1707年の宝永地震(M8.6程度)と、そのすべてがM8を超える巨大地震となっている。

前回が1946年だったことを鑑みると、平均的な周期から考えて、次回は2070年前後と考えられる。

だが冒頭にも述べたとおり、政府はその発生確率について、今後30年間で、最大80%としている。つまり、これまでの周期よりも早く、巨大地震が起こるというのだ。