ドラフトを見て、巨人は「金にあかせて強くなるべき」と思った理由

19年シーズンの明暗が見えた
西山 秀二 プロフィール

監督交代のバタバタがもろに出た2球団

ここまでは、いい指名ができたチームに触れてきましたが、逆に首を傾げたくなる指名をするチームもありました。

その最たる例が阪神タイガースです。

矢野燿大監督の就任発表がドラフトの10日前。おそらく、監督交代のバタバタで準備ができていなかったんでしょうね。

何がしたいのかよくわからない指名でした。選手の選択がチームの現状に見合っていない。どうチームを強くしていくかという戦略が見えませんでした。

ここ数年、野手を育成してきて、北条史也や糸原健斗が育ってきている。藤原恭大(大阪桐蔭)を穫りにいったのはいいんですが、抽選で外したのなら、投手でいくべきです。今、阪神に必要なのは、即戦力の投手なのに、3位まで全部野手。これからどうすんの?という感じです。

ドラフトですぐに補えない得点力不足を解消するなら、積極的にトレードやFAで長距離砲を穫りに行くべきですが、このところの阪神の補強は、中途半端なんです。補強するなら徹底的にやるべきです。一昨年も、糸井嘉男を穫りましたが、本気でチーム力を上げようというなら、彼だけじゃなくて、あと2、3人穫るべきでした。

戦略が見えないタイガースは今季も心配です。

タイガースは、金満チームのひとつでありながら、2005年以来、リーグ優勝から遠ざかっている。

もう1球団、シーズン終了間際の監督交代でバタバタしたことの影響が出ている球団があります。読売ジャイアンツです。

監督が変わっただけでなく、ドラフト直前の10月11日に、スカウト部長が、岡崎郁さんから長谷川国利さんに交代しました。

今回のジャイアンツのドラフトは、あまり作戦会議ができていない感じがしましたね。即戦力なのか、数年後を見越した育成なのか、チーム強化の焦点が見えなかった。原監督の体制でのドラフトは来年からということでしょう。

ただ、抽選で選手を穫り合うドラフトでは、一気にチームを強化するのは難しい。

しかも、下からの育成もうまくいっていません。二軍はイースタンリーグを4連覇しているのに、下から育ってきたのは、今季ブレイクした岡本和真くらいでしょう。

そうなると、強化は、トレードやFAに頼るしかない。

ジャイアンツは、毎年、勝つこと、日本一になることが求められるチームです。カープやファイターズとは目標が違います。

ドラフトでチームを強化できず、このままジャイアンツの低迷が続くようなら、「勝つからジャイアンツが好きだ」というジャイアンツファンは離れていってしまうだろうし、他チームのファンだって、敵役のジャイアンツが弱ければ、盛り上がりません。

金で選手を集めるのも企業努力なんだから、どんどんやればいい。巨人は、他のチームがそこまでやるかとあきれるくらいやればいい。

長嶋さんが監督の時代は、えげつないくらいに他チームの主力選手をかき集めていました。松井秀喜という球界を代表する4番打者がいるのに、ドラゴンズから落合(博満)さん、スワローズから広沢(克実)さん、ライオンズから清原(和博)、バッファローズから石井(浩郎)さん、カープから江藤(智)と、毎年のように大砲を穫ってきた。

最近は、何を気にしているのか、遠慮し過ぎているように見えます。ジャイアンツが本気で復活を目指すなら、金にあかせて選手をかき集めるべきです。ぼくは、12球団のなかにそんなチームがあっていいと思ってます。

ジャイアンツは、日本一からは6年、リーグ優勝からは4年遠ざかっている。