ドラフトの目玉・根尾昴の指名は、中日、日本ハム、巨人、ヤクルトの4球団が競合し、中日の与田新監督(左端)が引き当てた

ドラフトを見て、巨人は「金にあかせて強くなるべき」と思った理由

19年シーズンの明暗が見えた

逆指名が廃止され、完全に抽選になってから12回目となった今回のドラフト会議は、一巡目の選択で甲子園を沸かせた高校生野手3人に指名が集中して話題となった。

指名される選手にとっては自分の人生を左右する重要な会議だが、育成によってチームを強化する広島と潤沢な予算で選手をかき集めて常勝軍団たろうとする巨人の両方に在籍した西山秀二氏によれば、ドラフトでの指名傾向で、それぞれのチームの近未来がはっきり見えてくるという。

ドラフトを一番面白くするファイターズ

ここ数年、ドラフトで見えてくるはっきりした傾向があります。

ドラフトでチーム戦略に合ったバランスのいい指名をした球団が、ペナントレースでも上位に来て、失敗したチーム、「えっ?」と首を傾げるような指名をしたチームは、シーズンの成績も悪いという傾向があります。

いい方の例の筆頭にくるのが、北海道日本ハムファイターズです。

毎回、スター候補を1位で穫りにいく方針がはっきりしている。一番ドラフトを面白くしてくれるチームです。

今回も、ドラフトの目玉・根尾昴(大阪桐蔭)をまず穫りにって、抽選で外したら、迷いなく甲子園のスター・吉田輝星(金足農)を指名しました。

その背景には、育成システムがしっかりしているという自信が感じられます。特に野手は2位以下で指名した高卒選手を鍛えて育てるという方針なんでしょう。西川遥輝、近藤健介、中島卓也、田中賢介、鶴岡慎也。2007年にスター候補として1位指名された中田翔を除けば、今のファイターズのレギュラー野手は、高卒でドラフト2位以下の選手たちばかりです。

今回も、2位の野村佑希(花咲徳栄)、4位の万波中正(横浜)といった、将来期待できそうな選手をしっかり穫っています。

ぼくは、二軍の試合を観ることが多いんですが、日本ハムというチームは、少数精鋭主義で、選手をどんどんゲームで使って経験を積ませるという方針でやっている。だから、イースタンリーグでの成績は決してよくない。二軍戦は、勝つことが目的ではなく、選手に経験を積ませ、成長させる場という考え方なんです。フォームを強制的にいじるということも絶対しませんから。

ドラフトで逆指名が廃止された2007年以降の12年間で、ファイターズは、リーグ優勝3回、日本一1回を遂げている。

広島東洋カープも、今回のドラフトは成功してますね。

小園海斗(報徳学園)を抽選で穫れたのは大きい。彼は、今のレギュラー・田中広輔の後継者として内野の要になれる選手です。カープらしい先を見越した指名ですね。
今は野手陣が充実していますから、2位で即戦力の大卒選手(島内颯太郎/九州共立大)を穫ったのも、チーム戦略に適した指名です。

広島は、2016年〜18年、セ・リーグでは巨人以外初のリーグ3連覇を果たした。

日本シリーズ出場は逃しましたが、10年ぶりの優勝を飾った埼玉西武ライオンズもいい補強をしました。

打線は12球団一と言ってもいいくらいの破壊力を持つ一方で、弱点となっているが投手陣。今回は、その弱点を補う投手中心の指名をしました。1回目の選択は、11球団が高卒野手を指名するなかで、唯一大卒の即戦力投手(松本航/日本体育大)を指名。2位以下でも3人の投手を指名しています。

チームの現状と将来を見据えて、バランスのいい補強をしました。このチームも、育成システムがしっかりしているという自信がありますから、ドラフトの指名傾向にブレがありません。

ライオンズは、今季10年ぶりのリーグ優勝だったが、その間、6回はAクラスだった。

昨年、下克上で日本シリーズに出場した横浜DeNAベイスターズの穫り方はいいですね。好きな穫り方です。

ここ数年、ゲームを作れる投手を上位で穫るという方針がはっきりしています。今回も1位(上茶谷大河/東洋大)と3位(大貫晋一/新日鉄住金鹿島)は即戦力投手でした。

ただ、チームがDeNAになってまだ間もないせいか、二軍での育成の方法が確立していない。筒香嘉智以降、中心打者となれる選手が育っていません。

ドラフトを見ればわかるように、チーム戦略ははっきりしていますから、これから二軍の指導陣が整っていけば、強くなると思います。

ベイスターズは、昨季19年ぶりに日本シリーズ出場を果たした。

ドラフトの目玉であった根尾を指名できた中日ドラゴンズは、予想以上の成果だったんじゃないでしょうか。2位(梅津晃大/東洋大)と3位(勝野昌慶/三菱重工名古屋)も即戦力のいい投手が穫れました。

ドラゴンズは、落合監督が退いて、2013年から6年連続でBクラスに低迷していますが、このチームの弱点は、フロントとチームの首脳陣の間の指令系統がよく見えなくて、現場が混乱するということがあります。長くチームを支えてくれそうな選手を穫れた訳ですから、これを復活のきっかけにしてほしいですね。

ドラゴンズは、2013年から5年連続Bクラスが続いている。