岡口基一裁判官、独占インタビュー「言論の自由を封殺した最高裁へ」

そして、驚くべき司法の内情について
岩瀬 達哉 プロフィール

「プロ」の裁判官が減ってきた

裁判官って、弱いんですよ。ひとりひとりは、ただのサラリーマンですから。

とりわけ司法制度改革のあとは司法試験の合格者が急増していて、この20年間で弁護士人口は2倍強に増えた。弁護士が余っていて、裁判官を辞めても弁護士に転身できないんです。

だから当局に睨まれることなく、賢くやっていきたいという自信のないヒラメ裁判官が増えることになる。多少の不利益を受けてもいいから、本を書いて、ほかの裁判官の役に立とうという奇特な人はいなくなりました。今では、本を書くと裁判官としての成績評価に響くといった「都市伝説」があるくらいです。

 

どこの世界も、プロがいなくなってきたと言われていますが、ウチも同じ。

基本的な司法の役割すらわかっていない裁判官がいます。なぜ、わからないかといえば、誰も教えないからです。それにワーク・ライフ・バランスで、週に何回かは早く帰らなくちゃならない。そうなると職場の飲み会もなくなる。先輩が後輩に教えるシステムが断絶してるんですね。

だからというわけではないのですが、これからはツイッターに替えて、フェイスブックで若い裁判官などに、司法の本質論を伝えていきたいと思っています。

三権分立のなかで、立法と行政は多数決原理ですから、必然的に少数者は追いやられる。その少数者の権利を誰が守るのかといったら、司法しかありません。

ヘイトスピーチとか、LGBTの話とか差別されている人たちがいて、この人たちの権利を守るのは、われわれの守備範囲なんですよと。そちらに目を向けてもらえるよう情報発信を続けていくつもりです。

二度目の戒告を受けることになるかもしれませんが、そういうことは気にしないでやっていくつもりです。私はなによりも自分自身の表現の自由を守りたいからです。自分の表現の自由すら守れない裁判官が、他人の表現の自由を守れるはずがありません。

(文中敬称略)

現在発売中の「週刊現代」11月10日号には、本インタビューのダイジェスト版をはじめ、二階俊博幹事長と菅義偉官房長官の対談、野村克也氏のインタビューなどが掲載されている。