岡口基一裁判官、独占インタビュー「言論の自由を封殺した最高裁へ」

そして、驚くべき司法の内情について
岩瀬 達哉 プロフィール

こういう議論は、当事者を傷つけないように、国民の目に触れないとこでこっそりやるようにしましょうという動きになる方が、むしろ危険です。情報公開・国民の知る権利は、国民主権・民主主義の基本であって、国民が自由に議論をすることは何よりも保護されるべきものだからです。情報の隠蔽はそこに新たな権力を生むだけです。

凍結されているツイッターについて言えば、ツイッター社が、いかにおかしなことをするかを示すため、そのまま放置し、別アカウントを作る気はありません。だから、いまはフェイスブックを中心に発信しているんです。

〔撮影:岡田康且〕

裁判所の権威を守るための「秘密のベール」

裁判官がSNSに投稿したことで戒告処分を受けるのは、今回がはじめて。過去の戒告は、破廉恥行為や怠慢行為などに下されている。以下は、最近のおもな事例だ。
・2001年10月、痴漢行為によって神戸地裁元所長が戒告。のちに依願退官。
・2013年10月、福岡地裁判事が、女性の司法修習生へのセクハラ行為で戒告。のちに依願退官。
・2018年6月、岐阜地裁判事が、判決文を完成させないまま判決を言い渡していたとして戒告。のちに依願退官。

裁判所には、ブログはやるなという基本方針があるんです。以前、ドイツに留学していた女性裁判官がブログをやっていたのを当局が聞きつけた途端、閉鎖になってしまった。また、家庭裁判所の調査官でブログをやっていた人がいたのですが、次席調査官室に呼びつけられ、ネチネチやられて、結局やめちゃった。

裁判所がなぜ、裁判官のブログを嫌がるかというと、どんな人が、どんなことをしているか知られたくないからでしょう。秘密のベールに包んでおけば、権威は高まりますから。

実際、20代で裁判官になっても、一人前になるには時間がかかりますから。彼らの実力を知られたら困るわけです。

 

司法試験って、基本法しかやらない。ところが裁判の現場では、いろんな法律があって、住民訴訟なんて、地方自治法を一度も読んだことないのに、いきなりやらされたりする。そういう職場環境のもとで、よくわからないまま難しい事件を次々担当させられるので、みんな自信を持てないでいるんです。

じゃ、勉強すればいいじゃないかとなりますが、勉強する時間もない。仕事が一杯一杯で、土日も判決書いてますから。

裁判官の仕事って、社会的なことを知らなくてはいけないし、法律も知らなくてはいけない。しかも法律はどんどん変わる。だから全部のことがわかって、自信をもって判決書けるという人は非常に少ない。たいていは、「判例秘書」という判例検索ソフトで、過去の似たような事件の判決を探しだしては、ああ参考例があってよかった、これを真似すれば判決が書けると言って、コピペしたりしている。

他方で、スーパーエリートであった某裁判官が、自信を持って、信念に基づいて国を負けさせ続けたところ、みごとに左遷されてしまいました。東京に戻ることもかなわずに今年の5月に名古屋で定年となりました。するとみんな、国を負けさせるとヤバいんだなとわかる。見せしめをひとりつくれば、下手に締め付けなくても、裁判官を自発的に隷従させることができる。そんな組織になってしまっている。

さすがに私も、裁判所という世界に若干、嫌気がさしてるのですが、処分を受けたことで逆に辞められなくなってしまった。法曹界のいろんな方々から、辞めないで発言を続けるようにといった励ましのメールがどんどん届いているうえ、職場でも冷たくされるどころか、もっと頑張ってみんなの弾除けになって下さいって言われるものですから。