スルガ銀行に地面師…いま、ヤバイ経済事件が次々表ざたになるワケ

『特捜投資家』作者が解説
永瀬 隼介 プロフィール

次のターゲットは…

世を賑わした古典的詐欺事件もある。『積水ハウス』が五十五億円を騙し取られた、『五反田地面師事件』である。

「詐欺商法の無形文化財、と言いたくなる凄い事件です」と語るのは、地下経済に詳しい公認会計士のM氏。

「品川区の一等地六百坪に目をつけ、入院中の土地所有者に成りすました老婆や、口の上手い仲介役など、十名近い“役者”を揃え、本人確認用のパスポート、印鑑登録証明書も偽造。超一流住宅メーカーを騙し、55億ものカネを詐取したんですから」

逮捕者は11人で、海外へ逃亡した容疑者も二人。さらなる複数の逮捕者も見込まれる、スケールの大きな詐欺事件、“五反田版オーシャンズ11”である。

 

「若い人間には真似できない、アナクロな事件ですね。土地探しから始まって、年配の所有者に沿ったストーリーを描き、配役を決め、資金が潤沢な客を引っ張ってくる。事前リサーチを含め、手間暇がもの凄くかかっている。ベテランの詐欺師でなければ無理です」

事情通によれば、都内にはいまも複数の地面師グループが存在し、高齢者が所有する一等地を狙い、日夜暗躍しているという。超高齢化社会が生んだ、おぞましい犯罪のトレンドといえよう。

先のM氏は仕事柄、多くの詐欺師に会ったというが、他を圧倒するスペシャルな人物がいる。

「20年近く前、画期的な金融機関を設立する、とぶち上げて、話題になった人物です」

拙著『特捜投資家』に登場する詐欺師とよく似た、恰幅がよくて、明るく逞しい大ボラ男だという。

「私が面識を得たときは金融サービス会社の経営幹部でした。とにかく明朗快活で話が上手い。ビジネスビジョンのスケールも大きい。私もあっという間に魅了されました。しかし堪え性がない。難しいビジネスにじっくり取り組み、大きく育て上げ、利益を生み出すだけのスタミナがない。すぐに放り投げて、身近なカネに目が眩む。案の定、会社のカネを持ち逃げして消えてしまった」

元々が経営者で、口先三寸で複数の大手企業を渡り歩き、独特のカリスマ性で周囲を魅了するものの、直にインサイダー取引や株価操縦、迂回融資、反社会勢力との付き合い等でトラブルを起こし、解任されてしまうのだという。もう、ビョーキとしか言いようがない。

「十年近く消息を聞きませんでしたが、最近、復活したんですよ」

なんと、海外展開も行なう有名企業の取締役に就任したのだという。

「その強靭なメンタルと面の皮の厚さには恐れ入るばかりです。悪だくみを考えてなきゃいいんですが」

なるほど。『特捜投資家』の次のターゲットはこの会社かも。

『特捜投資家』の発売を記念して、11月7日水曜日、19時半よりEsola池袋にて著者のトークイベントが行われます。詳しくはこちらをクリックください。