写真:著者提供

私が劣等感を克服してカリスマロリータモデルになるまでの20年

隠しても「カワイイ」は味わえるのです

原宿駅のコインロッカー

ごきげんよう、青木美沙子です。

ロリータモデル20年、看護師歴15年、どちらも現役35歳の美沙子です。

この連載もとうとうフィナーレ、どういう内容にしようかとぼんやり考えながら、電車にガタゴト揺られています。実家のある船橋駅から総武線に乗り、代々木駅で山手線に乗り換え、今、原宿に向かっています。

原宿はロリータの聖地。思えばこの道のりを、この20年いくども辿ってきました。わたしの歴史のつまった路線。振り返ると、これまでのことが素直に思い出されます。

写真:著者提供

モデルデビューしたのは1998年、わたしは15歳でした。長野オリンピックで日本中が盛り上がり、タイタニックが大流行したあの頃です。その年に読者モデルとしてキャリアをスタートさせましたが、憧れの原宿にはうまくなじめるか心配で、電車に揺られながら、期待と不安で胸がいっぱいだったのを覚えています。

原宿駅で降り、山手線乗り場をエスカレーターで上がると、コインロッカーがあります。現在のロッカーはICカードで支払うものが半分ほど、料金は400円と500円。

当時、船橋から学校帰りに制服のまま原宿にやってくることもありました。着替えや教科書など、毎回大きな荷物を抱えて撮影のために原宿に降り立った高校生のわたしは、ロッカーを横目にちらっと見ながら、使いたいけど高いなあと思っていました。高校生にとって、毎回の数百円は痛い出費です。

 

ロッカーは特別な時だけ使い、普段は大きな荷物を抱えたまま、原宿の街をてくてく歩いていました。グーグルマップもなく、迷子になることもありました。そういうときにはとても不安で、もともと無い自信がさらに無くなり、心が大きく震えました。

モデルとして走り出した3年間、原宿には様々なものが現れてはまた消えていきました。街には1年目にはタイタニックの主題歌が流れ、2年目にはだんご三兄弟に変わり、3年目には慎吾ママへとなりました。

テンポよく変わる原宿で、最初は荷物を抱えて震えていたわたしも、少しずつ景色を見られるようになっていきました。撮影や街中で見かけるたくさんのお洋服の中から、心が素直にときめいてくれるものを、ひとつひとつ見つけていきました。フリル、リボン、レース、のカワイイ。つまりはロリータのお洋服です。

原宿駅を出て横断歩道を渡り、人混みをするりと抜け、表参道の方へ少し歩くと、左手にラフォーレ原宿があります。現在、ラフォーレ原宿の地下には、ロリータのメゾン(ブランド)がたくさん入っています。今でも頻繁にここに通い、最新のロリータ傾向や商品をチェックしています。

この道20年ですので、ちょっと玄人目線で見て回ることもあり、ただカワイイと感動するだけではなく、これは中国資本のメゾンのものだなとか、ここの新商品はアメリカのロリータにウケそうだなとか、そういったことを考えながら見て回ります。