「紀州のドンファン」怪死からまもなく半年で親族が抱く「不信感」

あれから5カ月。いま、なにが…?
吉田隆

親族が激怒する理由

この「いごん」がホンモノであったとしても、全額が田辺市に寄付されることはない。妻には法的に遺留分が認められているので、遺産が30億円だとすると2分の1の15億円をもらう権利がある。

一方で、本来は4分の1の相続権があった兄弟姉妹は、この遺言書が有効だとその権利を失ってしまう。兄弟姉妹には遺留分請求権がないからだ。

親族の一人は私にこう心情を吐露する。

「この遺言書には不審な点が多くありますので、異議を申し立てることになるでしょう。親族はもともと遺産の件には全く関心はなかったのに、突然出てきた不可解な遺言書を見て対決することを決めたようです。別に遺産が欲しいわけではないが、幸助の遺した財産が全く関係ない第三者に渡ることは許されない、と憤っています」

親族は10月15日に、田辺の公証役場で社長の遺言公正証書が全国どこにも存在しないことを確認し、平成24~25年に社長が作成した公正証書を取得している。

そこには社長直筆の名前が書かれている。もう一つ、私の手元には1年半前に社長が著書にサインした写真が残っている。

「いごん」のサインは社長の自筆と似ているようにも見えるが、似せて書いているだけのようにも見える。

 

若妻の取り分も7億円以上減るのに……

この遺言書がホンモノであれば、若妻が受け取る遺産の額も相当減ることになる。総額が30億円とした場合、本来22億5000万円もらえるはずの遺産が、15億円になる。取り分が7億5000万円も減るのだ。

ドン・ファンの周辺でいろいろな不信感が渦を巻いているようだ。前出の親族が言う。

「早くお金がほしい、ということなのでしょうか。それに対して、兄弟姉妹が不愉快な気持ちになっているのは事実。だからまず、遺言書がホンモノであるかどうかを争うことに決めたのです。言わば〝宣戦布告〟ですね」

10月半ば過ぎに、私はSちゃんに苦言を呈した。

「罪を犯していないのなら、時間がかかっても正々堂々と遺産をもらうべきだよ。7億5000万円も減らされて『はい、いいですよ』という感覚はおかしくないか?」

彼女は首を傾げたが、私の言葉を真剣なまなざしで聴いていた。結局、ドン・ファンの親族は、彼女らと対峙することを決めたようだ。

犯人逮捕の前に、まずは遺産相続で大きな騒動が起きそうである。

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