知られざる男性不妊、実は「あの行為」が妊娠を阻んでいた可能性

夫婦の3組に1組が悩んでいる
トイアンナ プロフィール

――たとえば、男性不妊においてどういった誤解が多いと思いますか?

吉川さん:たとえば「精子が少なかったら終わりだ!」という誤解でしょうね。男性不妊の原因は、(1)精子の量、(2)精子の運動率、(3)精子の奇形率などで査定できます。しかしたとえば検査の上で精子の量が少なかったからといって、ダメなわけではないんです。

受精へ至れる精子の量や質は、一部のケースを除けば生活習慣を見直すだけで数か月もあれば改善できます。それが「精子がダメだから、もう俺はダメだ」と男性としての自信まで失ってしまいそうになるから、受診への腰も重くなるのだと思います。

――確かに、精子の状態が生活習慣で改善できるとは意外でした。たとえばどんなことをすれば、改善できるのでしょうか?

吉川さん:症状が重度でなければ、タバコやお酒を控えたり、適度な運動をしたりするだけで結果が出ることも少なくありません。実際に僕自身も、精子の運動率を改善することができたんです。

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男性が迷っているうちに何十万円も無駄になる

また、男性が不妊治療から遠ざかる理由の2点目に「産婦人科への距離感」があると吉川さんは語る。

吉川さん:産婦人科って、そもそも「女性の病院」という意識が男性にはあります。病院へ行って、女性に囲まれて「なに、この人」という目で見られるなんていたたまれないですよね。さらに精子の採取があるなら、そこで変な部屋へ入れられて、精子を出さなきゃいけないのか……と思うだけでも憂鬱になります。

――不妊治療は必ず産婦人科へ行かなくてはいけないのでしょうか?

吉川さん:いいえ。男性の場合は泌尿器科でも「精液検査」はできます。しかし、不妊治療には5つのステップがあり、最初のステップである「不妊基本検査」は産婦人科や不妊専門クリニックで受けるため、最初のステップは奥様だけが参加することも多いです。しかし、最初から旦那さんが参加していればお金を節約できたというケースが少なくありません

<不妊治療の5つのステップ>
1. 不妊基本検査…妊娠に関係する機能を検査し、原因と特定する
2. タイミング法…いつセックスすべきか、時期を医師が提案する
3. 人工授精…精子を直接子宮内へ注入し妊娠へ導く
4. 体外受精…排卵前に体外へ卵子を取り出し精液をかける
5. 顕微授精…精子を1匹吸引して、卵子の細胞質内へ直接注入する
 

――これを見ると、タイミング法までのステップでは、男性が参加しなくてもよさそうですね。

吉川さん:そう考えてしまいますよね。しかし、もし不妊の原因が男性側にあった場合、いくらタイミング法を頑張っても効果は表れなかったりします。また精子の状態によっては選択すべきステップや治療方法が異なります。

しかし男性側が最初に検査をしなかったために、「何度も病院へ通ってついに人工受精となったところではじめて旦那さんが検査に応じ、実は男性由来だとわかった……」というケースが多いんです。

しかしそれまでのステップでも何万円、何十万円という費用がかかります。男性が参加すべきか迷っているうちに、お金が無駄になってしまうかもしれないんです。

さらに受診には待ち時間も含めると何時間もかかりますから、女性は会社を早退したり、休まなくてはならなくなります。その分働けた賃金も考えると、損失はさらに増えてしまうんです。

――男性が最初から不妊治療へ参加していれば、男性由来と分かった段階で適切なステップや治療法を選択できるから、総費用を減らせるわけですね。

吉川さん:そういうことです。