森保ジャパンの快進撃を可能にする、2つの「やりません!」

この男のマネジメントが意味するもの
二宮 寿朗

9月は欧州のシーズンが始まったばかりで、国内組と海外組若手中心の編成にした。ロシアワールドカップに出場した海外組はゼロ。南野、中島、堂安ら若手アタッカー陣を伸び伸びとプレーさせている。

10月のパナマ、ウルグアイ戦は満を持してロシアワールドカップ組を多く招集したが、香川真司、乾貴士、武藤嘉紀らは入っていない。

コスタリカ戦で活躍した若手アタッカーと、ロシア組を融合させるとどうなるか。まずはそれをテストしたかったように感じる。見事にそれは成功した。1トップに入った大迫とのハーモニーは非常に見応えがあった。

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10月の2連戦では23人のメンバー中、GKシュミット・ダニエル以外の22人を起用している。それも最低25分以上はプレー時間を与えている。

呼ぶ以上は試合で起用する。競争意識を高め、全体のモチベーションも上がる。全員起用は公式戦になると難しいだろうが、親善試合をうまく使いながらチームづくりを進めている。

森保はサンフレッチェ広島時代やU-21代表では3-4-2-1システムを採用してきた。だがA代表では4-2-3-1(4-4-2)で戦っている。A代表が馴染んでいるものから始めており、「俺のやり方に合わせろ」感はない。選手がどうやれば自分のパフォーマンスを発揮しやすいかを優先させている。

 

②「代表監督だよ!上から目線」やりません!

森保はとにかく営業マンのようにフットワークが軽い。

Jリーグの視察ペースは、歴代監督のなかでも群を抜いているのではないだろうか。東京五輪代表の視察もあるためではあるものの、選手の状態を自ら確かめるばかりでなく選手のモチベーションを引き上げる意味もある。彼はこう語ったことがある。

「自分は高校時代、無名の選手でした。だけど長崎まで見に来てくれて、僕は(サッカー選手になる)チャンスをもらったんです。もし見に来てもらえていなかったら、今の自分はなかったかもしれません」

森保は長崎日大高で国体選抜に選ばれた経験はあったものの、全国的にはノーマークの選手だった。JSL(日本サッカーリーグ)マツダの今西和男強化部長と、当時マツダのコーチを務め、のちに日本代表の監督になるハンス・オフトの視察をきっかけにマツダ入りが決まり、A代表で活躍するまでに成長した。だからこそ彼は積極的に視察をして、選手のプレーを見ることにこだわっている。映像には出てこない情報を、自分の目で引き出そうとしている。

そして視察は、指導者やクラブに対する感謝の意味もある。

「すべての指導者の努力、環境を整えてくれる方々の努力があって、我々は素晴らしい選手たちを呼ぶことができ、日本を代表して戦えることを忘れてはいけないと思っています。そういう方々の気持ちを背負って戦うということは、常に肝に銘じておきたいです」

視察に行くことで指導者やクラブ関係者を含め、日本サッカーにかかわる人々に会う機会も増える。視察に出向くことは感謝の気持ちを刻むことでもある。