「日本人の幸福感は収入より自己決定度で決まる」という調査結果

学歴はそれほど幸福感につながらない
西村 和雄, 八木 匡

調査結果:所得や学歴よりも「自己決定」

我々の調査で用いたデータで、主観的幸福感の度合いを年齢別グラフにすると、中年期に落ち込む「U字型曲線」を描き、35~49歳で主観的幸福感は下がることが分った。

異なる国のデータを比較した場合、より高い所得が必ずしもより高い幸福感をもたらしていないというのが「イースタリン・パラドックス」である。

我々は、日本のデータを用いて、一国内での所得と主観的幸福度の変化率の比(弾力性)を調べてみたところ、所得が増加するにつれて、主観的幸福度が増加するが、所得の増加率ほどには主観的幸福感は増加せず、その変化率の比も1100万円で最大となった。

図:主観的幸福感を決定する要因の重要度(注:学歴は統計的に有意ではない)

最後に、健康と人間関係以外の要因の影響力を比較した。大学の入学難易度を考慮した学歴も調べてみたが、主観的幸福感への影響は統計的に有意ではなかった。

世帯年収額と自己決定指標は、ともに主観的幸福感に対して有意に正の効果を持っている。

図で示されているように、自己決定は所得や学歴よりも強い影響を持っている。自分で人生の選択をすることが、選んだ行動の動機付けと満足度を高める、それが幸福感を高めているのであろう。

 
【参考文献】
・Deci, E. L. and Ryan, R. M. (1985). Intrinsic motivation and self-determination in human behavior. New York, NY: Plenum.
・Easterlin, R. (1974). “Does economic growth improve human lot? Some empirical evidence.” Nation and Households in Economic growth: Essays in Honor of Moses Abromowitz, ed. by Davis, P. A. & Reder, M. W. :pp. 89-125, London: Academic Press.
・Hills, P. and Argyle M. (2002). "The Oxford Happiness Questionnaire: a compact scale for the measurement of psychological well-being." Personality and individual differences 33, no.7: 1073-1082.
・西村和雄、八木匡「幸福感と自己決定―日本における実証研究」 経済産業研究所 RIETI DP 18-J-026 2018年9月
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