田原総一朗氏

田原総一朗が覗いた「なんとも奥深き高齢者婚活の世界」

高齢者の性を巡る旅⑤

シニア婚活花盛り

ソフトバンクホークスの王貞治球団会長が、78歳という高齢で結婚したことが大きな話題となり、作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏も71歳で婚約を発表するなど、高齢者の結婚が珍しくなりつつある。

厚生労働省の人口動態統計の調査では、50歳以上で結婚した人は2000年ごろから急増しているようだ。

こうした動きを受けて、シニア層が新たなパートナーを探す「シニア婚活」が活況を呈しているということである。

「シニア婚活のニーズが高まっている背景にあるのが、一人暮らしをしている高齢者の増加だ。総務省の国勢調査によると、一人暮らしをする高齢者の数は2015年に全国で592万人(男性が約182万人、女性が約400万人)になった。65歳以上人口に占める

割合は、男性が13.3%、女性が21.1%となり、1980年(男性4.3%、女性11.2%)に比べて飛躍的に高まった。国立社会保障・人口問題研究所は、一人暮らしの高齢者の割合が2035年に男性で16.3%、女性で23.4%になると推計しており、この流れはさらに勢いを増すだろう」(『日経ビジネス』2018年7月16日号)

さらに、同じ記事の中で、1980年に5割を占めていた三世代同居が、2015年には12.2%にまで減少し、配偶者に先立たれると一人ぼっちになってしまう、と強調している。また、一度も結婚しない独身の中高年が増えているようだ。

国立社会保障・人口問題研究所の調査では、65歳以上の一人暮らし男性たちは、社会から孤立し、半数以上が家族を含む誰とも毎日会話をしていないという。

平均寿命が男女ともに80歳を超えたいま、シニア層が新たなパートナーを探す『シニア婚活』が活況を呈しているのは当然といえるだろう。

東京だけでも、婚活のための出会いパーティやバスツアーなどを行っている企業は50社以上あるが、今回は1993年に創業して銀座のグランベル銀座ビルで婚活サポート業を行っている「ブライダルゼルム」の婚活アドバイザー・立花えりこ氏を取材した。

 

ニーズ10倍

立花氏は、「母親が結婚相談所と見合いパーティをやっていたのを、25歳のときに引き継いだのです、業界で一番若くて、正直言って自信もありませんでした」と素直に言い、気取りも構えたところもない、落ち着いて信頼のできる女性であった。

「その当時は、シニアの婚活なんていうのは全然なくて、20代、30代、40代の方々がメインのお見合いパーティが中心だったのですが、ここ10年くらい、シニア、つまり50代、60代のパーティのニーズが出てきました。それも最初は月に1度のペースだったのが、予約がすごく殺到するようになりまして、本数をどんどん増やすことになったのです。

そして、年齢もクラスももっと細かく分けて、死別の方中心のパーティであったり、高齢者で、ペットを飼っている方が多いので、ペット大好きな人が集まる会とか、いろんな企画をつくりまして、とにかく、当時よりも10倍増になりました」

立花氏は、落ち着いた口調ではあるが、10年間をひと息で語った。

――10年間で、10倍増になったとは凄いな。

「そうですね。10年前は、1カ月に1本だったのが、現在では週に2、3回ですからね」

――8月10日の読売新聞に、内閣府の調査のデータが載っていて、引きこもりの634人のうち、約7割が40歳以上で、昔は引きこもりは若い世代の問題だったのが、高齢化しているというのですね。それから、山梨県の調査では、818人のうち40歳以上が6割だということです。

私はそこで言葉を切って、あらためて立花氏に問うた。

――具体的に、婚活パーティを、どういう場所で、どういうかたちでやっていらっしゃるのですか。

「婚活パーティは、このビル、本社の部屋でやっています。ホテルとかですと、どうしても場所代がかかって、パーティの参加費をリーズナブルな金額内に納められませんからね」

――パーティに参加するのは、男性、女性何人ずつで、どういうかたちでパーティをおやりになるのですか。

「うちの場合は、少人数制で、男性12人、女性12人、ぐらいの形が一般的ですね。男性と女性の比率を揃えて……いわゆる回転寿司形式というのですが、女性の席の隣に男性が順番に腰掛けていただいて、一対一で、グルッと全員と話していただきます。そして、そのあと、フリータイムという形で男性が行きたい女性の席に行くというのを4回から5回やっていただいて、最終的には気になった人の番号を記入してもらって、最後は番号でのカップル発表ということになります」