「AYA世代」に適した乳がん検診は?

確かに、乳がん検診がない20~30代の若い世代にも乳がんが増えている。若い著名人が乳がんで命を落としたという報道を聞くと、恐ろしくなり、検診に行こうという気持ちになるのも分かる。しかし、40代未満の発症率は全体の6%前後で20代は0.3%(2011年のデータ)。人数が少ないからといって、検診しなければ早く見つけられないじゃないか、と思うのもよくわかる。ただ若い世代ほど高濃度乳房で見つかりにくいうえ、放射線による被ばくなど、デメリットばかりが高い

もし、15歳~39歳の「AYA世代」と呼ばれる若年層で、乳がんなどの家族歴(第1度近親者 母親、姉妹)があるなど、リスクが高い人は医師に相談して被ばくのないエコーを受けるなど対策を考える。リスクがある人もない人も、月に一度自己触診をし、もし乳房に異変を感じたらすぐに病院で検査をうける。これが若い年代に今できることだ。

何度も言うが、がん検診の精度は100%ではない。がんができた場所や種類によって見つけにくいタイプや見逃しもある。また、検診を頻回におこなうほど、命に関わらない、“放っておいてもいいがん(進行が遅く、命のリスクが低いがん)”まで拾い上げてしまう「過剰診断」の可能性が高くなる。それでも、がんが見つかってしまった以上、がん治療をすることになる。また、がんの疑いがあり、結果的に精密検査を行ったけれど、がんがなかった「偽陽性」もある。

過剰な検診で心が参ってしまうことも

必要以上の検診を受け、精密検査でハリを指すなど体への負担がかかる検査をし、結果が出るまでの間、恐怖で夜も眠れなかった。精密検査の結果が良性とでて、その場にへたり込んでしまったという人の話はよく聞く。そのあとも神経質になり、がんがあるのではないかと過度に心配をし心が疲弊してしまうケースもある。それほどの恐怖感がつきまとうのだ。

国が推奨している乳がん検診は40代から2年に1回。自分の乳房の体質を知り、心配ならば自費診療で1年に1回受けてもいい。乳がんなどの家族歴が(第1度近親者 母親、姉妹)あるなど、乳がん発症リスクが高い場合のみ、医師と相談して、年に1度、マンモグラフィと超音波検診をして様子をみるなど、個々にアレンジはありだ。

そして大事なのは、たとえ乳がん検診で異常なしと言われても、しこりや乳房の変形、血のような分泌物があった場合は、検診ではなく検査に行くこと。自覚症状があるのに「心配だから検診を受けようと思う」という人がいるが、これは間違い。検診は、自覚症状がない、健康だと思われる人に対して行うもので、自覚症状がある場合は、検診ではなく、早急に受診することだ。

がんと言われたら確かに怖いと思う。死に関わる「特別な病気」、というイメージを払しょくすることは難しく、決して甘く見てはいけない病気だ。だからこそ、ただ怖がるだけでなく、どうしたら、がんになっても命を守り、自分らしく暮らすことができるか、冷静になり正しく知識を持つことが大切だ。