毎年10月は世界中で「ピンクリボン月間」。乳がんに対しての正しい認識を広める月だ Photo by iStock

ピンクリボン月間だから伝えたい、乳がん検診「やりすぎ」の弊害

大切なのは「検査の役割」を知ること

漫画家のさくらももこさんが、乳がんで亡くなられてから2カ月。2017年6月に34歳の若さで亡くなられた小林麻央さんに続き、「人生百年」と言われるなかでの53歳は早すぎると、衝撃を受けたことだろう。

ほかにもSKE48の元メンバーでタレントの矢方美紀さんなど著名人が若くして乳がん罹患を公表する人が増える中、自分や大切な人は大丈夫かという危機感から「乳がん検診で命を守ろう!」という声があちらこちらで上がる。た

折しも今月は世界的に乳がん啓発運動が行われる“ピンクリボン月間”だった。乳がんに関心が寄せられる今だからこそ、乳がん検診について、メリットだけでなく、弱点についてもきちんと知識を持っておくことが大切だ。

自らも40代で乳がんを経験し、現在はNPO法人キャンサーリボンズ理事、NPO法人CNJ認定がん体験者コーディネーターとしても幅広く活動している、美容ジャーナリストの山崎多賀子さんに、がん検診について話を聞いた。

 

検診を「受けすぎるリスク」

ピンクリボン運動では、乳がんの早期発見の大切さを声高に謳われている。検診も大切だと思う。しかしここで伝えたいのは、“検診を過剰に受ける”ことへの問題だ。

40代前半の健康意識が高い知人は、乳がんの早期発見のために、自覚症状がなく、要精密検査になるわけでもなく、家族歴もないのに半年に一度、自費診療でマンモグラフィ検診を受けているという。半年に1回も検診を受けることを止めない医師にも驚き、直ちにその施設での検診をやめることを助言した。

また数年前の話だが、知り合いの経営者は、社員の命を守るため20代の女性社員にもマンモグラフィを毎年受けさせていると言った。社員のためによかれと思っての選択だが、若い女性社員が、毎年検診を受けるリスクの大きさに気づいていなかった。

どちらも、がん検診への“誤解と過剰な期待”が一般に浸透しているのだと痛感する出来だった。では一体女性たちはどうしたらいいのか。そこで、改めて乳がん検診の現状と、効果的な受診の方法をお伝えしたいと思う。

検診率は相変わらず低いが…

事実、日本では年間86万人ががんになり37万人ががんで亡くなっている。

罹患率の男女比は男性62%、女性46%で、男性のほうが高いが、じつは20代から50代中ごろまでの若い年代に限って言えば、女性のほうが高い。これは、多くのがんが50代後半から発症数が増えていくなかで、子宮頸がんや乳がんといった女性特有のがんの罹患が40代から50代にピークがあるからだ。なかでも乳がんは女性のなかで最も多いがんで、日本では11人に1人が生涯のうちに罹患するといわれている。

確かに乳がんは早期で発見し、適切な治療を受けることで治る可能性が高いことはデータが物語っている。そこで、自分でしこりを見つける前段階で発見するために「乳がん検診」が行われている。乳がん検診の目的は、早く見つけて乳がん死を減らすことだ。そして、乳がん死を減らすことができると唯一科学的に証明されているのが、エックス線を用いた“マンモグラフィ検診”だ。

乳房を機械に挟み、X線で診察するマンモグラフィ。40代以上に推奨される検診だ Photo by Getty Images

乳がんは早期発見で5年生存率95%以上といわれている。ところが日本の乳がん検診の受診率は検診の対象となる40代以上(40~69歳)で36.42%。アメリカが80%以上、フランスたイギリス、韓国も70%以上の検診率があることを考えると、他の先進国に大きく後れを取っているのだ。