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米中間選挙、「反トランプ」が一枚岩になれない理由

トランプ関税が民主党を封じ込めた?

「ハイブリッド」な大統領

米調査機関ピューリサーチが中間選挙年の夏に実施している世論調査によると、民主党支持者で「大統領の不信任で投票する」割合は過半数の61%だった。「反トランプ」熱の象徴と思いきや、同じ共和党政権下のブッシュ息子政権の2006年に「大統領の不信任で投票する」とした65%より少ない。

また、共和党支持者で「大統領の信任投票と考える」とした回答は、トランプ政権下の今年(52%)のほうがブッシュ政権下の2006年(33%)を20ポイントも上回っている。

中間選挙での民主党の反共和党大統領票は、イラク戦争が泥沼化した時期の「反ブッシュ」を凌駕するものではなく、ブッシュ政権末期に比べれば、共和党支持者の大統領信任はまだ堅い。

トランプが保守でもリベラルでもない「ハイブリッド」な大統領であることが関係している。

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トランプ関税が民主党に与えた衝撃

中間選挙は左右両極のイデオロギー的な層だけが熱心に投票し、投票率もおおむね低い。そこで大統領は「トランプの選挙」と印象付けるシグナルを送り続けている。

そのハイブリッド性を駆使した「隠し球」は保護貿易色の強い貿易政策だ。結果、民主党全般と共和党農業州の選挙現場で、違う理由で貿易がある種の扱いが難しいテーマにもなっている。

民主党に衝撃を与えたのはトランプ関税だった。

 

今年3月、全米の労働組合の顔である米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)会長が、トランプ政権の鉄鋼・アルミニウム関税について、労働者にとって素晴らしい政策だと褒めちぎった。政権の努力を賞賛し、「偉大なる第一歩」とまで呼んだ。

議会民主党幹部らも同調を示し、シューマー上院総務は政権の対中関税を高く評価している。

リベラル系の下院議員の中には「ライトハイザー通商代表は、オバマ政権のフロマン通商代表より有能」との声まであがり、「結果を出す通商代表」「タフな交渉者」と評判だ。

民主党がリベラルな選挙区で世論調査をしても、「トランプ関税は必要で労働者のためになる」との回答が多い。

結果、選挙現場では貿易論は棚上げの姿勢を余儀なくされている。貿易に触れると、どこかでトランプ政権を多少は褒めざるを得ず、「反トランプ」で結束できない。