# シアーズ # 小売

アメリカの老舗「シアーズ」破綻が日本の小売業に遺した教訓

さて、生き残ることはできるか…?

125年の歴史を誇る米小売業の老舗、シアーズ・ホールディングスが米東部時間の月曜未明(10月15日)、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条の適用をニューヨーク州の破産裁判所に申請し、実質的に倒産した。裁判所に提出された資料によると、負債総額は約113億ドル(およそ1兆3000億円)。これは、日本の製造業で最大とされるエアバッグのタカタに迫る大型倒産だ。

破綻の主因は、1970~1980年代にかけて、シアーズを小売業・全米1位の座に押し上げたカタログ販売モデルに代わる収益基盤を長年構築できなかったこと。最後はアマゾン・ドット・コムなど新興のネット通販各社に対抗できず、息の根を止められた。

シアーズ破たんと生き残っているライバル企業の経営の違いを検証し、日本の小売業者にどのような教訓を残したのか探ってみよう。

 

ゴールドマン・サックス出身がアダに?

シアーズは、1893年にイリノイ州シカゴで創業した。現在は名称が違うが、2013年まで長らく全米一の高層ビルだった、シカゴのシアーズタワーを建てた企業としても有名だ。

同社の最大の特色は、何と言っても初期のカタログ通販をテコにした成長だろう。家族と居間で団らんしながら、カタログを見て買い物をする、これがアメリカ人のライフスタイルだった時代が長く続いた。

戦前から都市部の人口が増え始めたのを機に、実店舗を幅広く展開する一方で、自社ブランドの家電製品や工具を開発・投入し、市場で圧倒的な存在感を放っていた。

だが、消費者ニーズに迅速に応える活力を持っていたのは、1980年代までだった。1990年代に入ると、ライバルのウォルマートやホーム・デポが仕掛ける価格競争に後れをとり、じりじりとシェアを落としていったのだ。

息の根を止めたのは、アマゾンを中心とするネット通販事業者の台頭だ。この7年は連続で最終赤字を計上する有り様で、ライフスタイルや時代の変化に完全に乗り遅れてしまった。

証券会社ゴールドマン・サックスの出身で、シアーズを率いたエドワード・ランパート氏が畑違いの経営者だった感も強い。同氏は、まず2003年に米小売業界10位だったKマートを買収し、そこを起点に2005年に5位のシアーズを吸収合併した。

市場関係者は当時、「小が大を呑むM&A(企業の合併・買収)だ」「次世代のウォーレン・バフェット」と喝采した。しかし、ランパート氏は証券マンとしてM&Aのような空中戦は得意だが、地道な小売経営ノウハウはなかったのだろう。流通の変化に応じた戦略を打ち出せず、シアーズはじり貧になった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら