ウォール街の最新理論を活用!分散投資「最強のポートフォリオ」

「5つの資産」をこの割合で保有せよ
大井 幸子 プロフィール

「ランダムウォーク」理論は古い

ランダムウォークから早40年ほど経ち、資産運用に関わる理論も進化してきました。

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「ランダムウォーク」理論では、インデックスによる投資収益は相場動向に連動します。

たとえば、株式インデックスは株式相場に連動するので、相場が上がればインデックスも上昇します。逆に、相場が下がればインデックスも下げてしまいます。株価が上がれば嬉しいですが、急激な下落局面では多くの人がパニックになってしまいます。

株価が上下するのは仕方がないとしても、一体どこが合理的な価格と言えるのでしょうか。

もう少し数学的に説明すると、ランダムという意味は「大数の法則」に対する乱数を言います。大数の法則が成り立つほど大勢の人々が十分な情報を持って取引する市場では、おのずと合理的な価格に収斂するはずだと考えるのが金融工学の仮説です。

ところが、この「効率的な市場」を前提とする「ランダムウォーク」理論が、機能しなくなる事態が現実になったのです。

 

1998年のロシア危機、2008年のリーマンショックなど大きな金融危機が起こるとき、市場参加者は恐怖心にかられ、我先にと売り急ぎます。売り浴びせが起こると株価が大きく下落し、さらに「もっと下がるかもしれない」と恐怖心が膨らみ、参加者はさらに投げ売りをします。そうなると市場が底知れず下落し、流動性が逼迫し、市場がパニックになり、効率性を失ってしまいます。

「ランダムウォーク」理論では、市場が正常に機能しているという前提があり、その前提のうえでは有効ですが、現実には、人々がパニックになり、市場のメカニズムが正常時のように有効に機能しなくなります。金融危機のときには、市場が急激に非効率的な状況に陥ってしまうのです。

こうした非効率的な市場は、実に5%の確率で起こると考えられています。逆に言えば、「ランダムウォーク」理論は「市場が効率的である」という95%の正常の状況において有効な理論と言えます。

確率5%ですから、5年(60カ月)のうち、3カ月間は、市場が調整局面にあったり、非効率的な市場環境に置かれるというわけです。

市場が効率的であれば、統計学上の正規分布で理論化できますが、そうでない場合には、非線形的な理論的枠組みを必要とします。