スマホゲーム依存症の息子がハマった「抜け出せない悪循環」

息子がゲーム依存症になってしまった⑤
鈴木 優

大学の部活やサークルで飲み会があるのはごく普通のことだし、軽音楽部などは特に多そうな気はする。音楽よりも飲み会やイベントのほうが楽しいといったふうの部員が多かったようで、そういうメンバーからの再三の誘いに息子はかなり参っていて、部活の人間関係がうまくいかないとも言っていた。

おかげで、部活へ行く気も次第にうせ、夏休みには辞めてしまうことになる。高校のときに打ち込んでいた様子を知っているだけに、息子だけでなく私もつくづく残念だと思っている。

 

結局のところ、教室の自分の机に座ってさえいれば決まった時間割に沿って学校生活が進行する高校までと比べて、変化が多く自由な大学という場所が息子にはあまり合っていなかったのだろう。息子には不器用なところがあるのは事実だ。その結果、楽しいことがスマホゲームしかなくなり、依存症を加速する要因のひとつになったに違いない。

学校で居場所をなくしたことが、ゲームへの依存を加速した(photo by istock)

スマホゲーム依存症になりやすいタイミングに、厳しい現実に挫折したり強いストレスを受けたりしたときがある。その場合、ゲームはストレスから自己を救済しようとする手段とも言える。最初に専門医を受診したときに、お子さんからゲームを取り上げないでくださいと言われたのはその意味もある。

依存症とはどういう状態かの説明として、「海に放り出されて助けを求めているときに、普通はいくつかある浮き輪がひとつしかない状態」と言われることがある。

ゲームでもアルコールでも、自己を救う手段がひとつしかない状況が問題の根を深くする。ゆえに社会性が高かったり、学校が楽しかったりする子は依存症になりにくい。

実際のところ、依存症ではない人はいくつか趣味や楽しみを持っているはずだ。一方で、息子のように友人が少なかったり、学校がどうもつまらないと感じている子どもは依存症になりやすいと言われている。

依存症はすべての人がなりうる病気ではあるが、本人の資質による部分はもちろんある。その意味では、息子は依存症になりやすいタイプであることは間違いないのだろう。

浮き輪がひとつしかないのが問題なのだから、子どもが依存症になるのを防ぐには、厳しい現実をなんとか切り抜けるための手立てを、簡単に言えば、楽しめることを増やすのは有効な方法だ

だが、残念ながら息子はこの時期にそういう手立てをほかに見つけられなかった。傍目にはスマホゲームがやめられないのがうまくいかない原因なのは明らかだから、ゲームをやめるように息子に言うと、怒ったり黙ったりするばかりで親としてもなす術がなかった。

息子にしてみれば、好きなゲームに救いを求めながら、同時にゲームがストレスの元にもなり、自分ではどうしようもなくなってしまったのだろう。楽しいはずのスマホゲームをやっている間にも、やがてふさぎ込むような様子が見られるようになっていった。

(つづく)