スマホゲーム依存症の息子がハマった「抜け出せない悪循環」

息子がゲーム依存症になってしまった⑤
鈴木 優

溺れているのに、浮き輪がひとつしかない状態

中高生の場合は、勉強をしなくなるか、なまじ勉強をしたとしてもかたわらでゲームをやりながらという状況が多いようだ。そんな勉強の仕方では、成績が落ちるのは当たり前である。結果として、学校からますます足が遠のいてしまうことになる。

専門の病院に通院する子どもたちには、そうやって学校に行けなくなった子がたくさんいる。息子もいまは休学中で、振り返ればこのときがまさに負のスパイラルに落ち込んでいる最中だった。

勉強ができなかったり、学校生活がうまくいかなかったり、あるいはゲームが好きで仕方がなかったりなど、依存症になる発端や環境はさまざまだが、ほかのご家族の話を聞くにつけ、ゲーム依存症が悪循環をまねく病気であることを痛感させられる

 

依存症になったことでいろいろとうまくいかなくなり、現実逃避としてますますゲームにのめり込むという図式だ。依存症であること自体がストレスを招く。だから、そこから抜け出すのは簡単ではない。

息子の場合は、それに加えて大学生活になじめないことも大きかったと思う。

大学には高校のようなクラスも自分の机もない。授業ごとに教室が変わり、出席する学生の人数や顔ぶれも違う。そんなことはなんの苦にもならない人が多いのだろうけれど、あとから聞いた話では、わりと人見知りな息子にとってあまり居心地がいいものではなく、ストレスがたまっていたようだ。

もちろん、大学は居心地がいいから行く場所ではない。学問を修める場所だ。授業に関しては面白いものもあるとは言っていた。しかし、先生の出欠の取り方をはじめ、テストやレポートの形式なども異なる環境は、高校とは勝手が違ってやりにくい面があったようだ。

 息子にとってなかでも期待はずれだったのは部活だった。息子は中学生のときからベースが大好きで、高校では熱心に軽音楽部で活動し、大学でも軽音楽部に入部した。大学へ行く動機についても、半分はバンドをやりたかったからだと言っていたぐらいだ。家ではほとんど練習をしていなくても、ベースはけっこううまかったらしく、高校時代にはコンテストなどでそれなりの結果を出していた。大学でも先輩にほめられたとうれしそうに言っていたことは以前にも書いた。

だが、ゴールデンウィークを過ぎていよいよ部活が本格的に始まるのと反比例するように、息子のやる気はみるみる低下していった。

理由は演奏以外のことだった。

「バンドで演奏するのは楽しいけれど、なぜいつも飲み会やイベントとかに行かなきゃいけないのか」

と息子はよくこぼしていた。