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「MBA漫画家」が会計を学ぶきっかけになった、会社倒産の危機

ある日突然会社の経営が傾いたら…?

猛暑に起こった恐ろしい事件

26歳の終わりに帰国して驚いた。

大学の同級生たちはほぼ例外なくみんな「ちゃんと」就職してそこそこ中堅になっている。

翻って自分を見れば、意気揚々と帰ってきたものの、後ろ盾もキャリアもなしでイラストレーターやデザイナーとして自活して生きて行くのはなかなか難しいという現実。

どうしても東京で暮らしたかったので、手っ取り早く仕事を探したら、縁あって小さな輸入代理店で雇ってもらえることになった。チラシや商品パッケージの簡単なデザインと、たまに海外との英語でのやりとりを任された。

社員数10人にも満たないその小さな会社は、パートさん達も皆仲がよく、雰囲気が良かった。外国からエナジードリンクと食料を輸入していて、知る人ぞ知るオシャレな商品だったので、私は自分の仕事をとても誇りに思っていた。頑張ればとても有名になるだろうと、何をもってどう頑張るかの定義はおいといて、とにかくそう思ってた。

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入社してすぐに、猛暑がやってきて、特にドリンクの方は売れに売れた。社長からは我々にも現物が支給されたし、入社間もない私にまでボーナスが出た。

ところが、8月のある日、恐ろしい事件が起こる。

猛暑ゆえの高温により、海上輸送中の商品が変形してしまったのである。何千ケースの段ボール箱、その中の何万本というペットボトルが、お前前世はボールだったのかい?と愛おしくなるほどに底が丸くなり自立できず、うち何本かは圧に耐えられず爆発してコンテナ内が水浸しになっていた。

検査の結果、品質に問題はなかった。私も飲んでみた。美味しい。しかし、このパッケージでは売れない。

輸入して飲み物を売る。たったそれだけのシンプルなビジネスなのに、発注して(お金がかかる)、通関手続きをして(手間と時間がかかる)、倉庫を借りて在庫を保管して(お金がかかる)、輸送して(お金と時間がかかる)、お店に並べてもらって(信用が必要)、代金を回収する……なんとまあ、人とお金と手間と時間がかかっていることか。

 

私は言われたことだけやったり、先方から来た素材でチラシを作ったりしていればよかったが、お店に並べてもらうために頭を下げている社長や営業さんはさぞ大変だろうと傍目で見て思った。

コンビニに置いてもらえるようになったのは、小さな会社にとってとても大きな出来事だったのに、このアクシデントで危うく欠品しそうになった。

「かんべさん、先方に電話して、緊急空輸をお願いしてください」切羽詰まった声で社長から夜中に電話がかかってきて土日返上で手配した。

海上のコンテナ輸送では1ヵ月ほどかかる商品も、飛行機だと2〜3日で届く。しかし、その分輸送費も高い。必死のパッチで輸送のための連絡を行なったが、「これ、一本のペットボトルを売るのに一体いくらの輸送費をかけているんだろう?」と経済音痴の当時の私ですら、ちょっと不安になった。