もう脱退しかないのか?日本が窮地に陥った「国際捕鯨委員会」の内幕

歩み寄りの余地なし
松岡 久蔵 プロフィール

日本は自民党の捕鯨議員連盟ほか、水産庁、外務省のスタッフを倍増させて今年の総会に臨んだ。それだけ気合いが入っていたということだが、しかし案の定というべきか、空しく提案は否決された。出席した谷合正明農林副大臣(当時)が「あらゆる選択肢を精査せざるをえない」と脱退もほのめかしたことは、ご存知の読者もいるかもしれない。

そもそも、決議のハードルが高すぎることがIWCが膠着状態にある最大の原因なわけだが、そのハードルを下げるための決議もままならないのだから、もはや日本がIWCの枠内で打つ手は事実上、残っていない。にっちもさっちもいかなくなった日本は、本気で脱退に向かうのだろうか?

 

当然ながら、脱退は得策とは言いがたい。もし脱退するならば、年明け1月1日までにIWC事務局に通知しなければならないが、1月中旬から行われる予定の日米物品貿易協定(TAG)交渉において、アメリカ側に口実を与えることにもなりかねない。

今後はEUとの経済連携協定(EPA)発効も控えているうえ、2020年には東京五輪もある。韓国でも、1988年のソウル五輪や2002年の日韓W杯の際には犬食を取り締まった例がある。「伝統文化だから」という言い分は、国際社会の力学の中では、なかなか通用しないのが現実なのだ。

IWC脱退の期限まであと2カ月あまり。年末までに日本政府は脱退を決断するのか、はたまたIWCに残って闘うのか。いずれにしても、待っているのは茨の道である。

(松岡久蔵・ジャーナリスト)