妻を亡くした男性は、余命が短くなる可能性が30%も高かった

「自立」が豊かな終活につながる
小谷 みどり プロフィール

一人で心身の健康を維持することができるか

まず大切なのは食事です。ネット調査会社、楽天リサーチ(現・楽天インサイト)が2016年に「料理に関する調査」をしたところ、週に一度も夕食を自分で料理しないという人は60.4%もいました。もともと料理をしない男性は、妻を亡くした後、食生活が乱れることもまた、容易に想像できます。この調査では70歳以上の男性の23.2%に「糖尿病が強く疑われる」という結果が出ています。

洗濯についてはどうでしょう。一人暮らしなら多少のことは大目に見ても、という意見はあるでしょう。しかしそのうち洗濯物を干すことすらおっくうになってしまい、下着を取り替えない=お風呂に何日も入らない、その結果、着替えもしなくなって何日も同じパジャマのままで過ごし、外出さえしなくなるといった悪循環に陥ってしまうことが懸念されます。

掃除も同じで、家のなかが汚かったり、散らかっていたりすると、お客さんや友人を自宅に入れたくなくなります。人に会わなければやはりお風呂に入って下着を替えなくてもいいし、汚れ物の洗濯も減らすことができると考えると、ますます外出の機会が減っていくでしょう。自活能力を身につけ、自立した生活をすることは、心身の健康を維持するためにもとても大切なのです。

配偶者に先立たれても一人で生きていける生活力を日ごろから鍛えておくことが、没イチを生きるための備えになります。前回の記事に触れたように、配偶者との死別による直接的な影響やダメージはできるだけ少ない方が、残された人にとって良いのです。

 

仲間は「没イチ」関係なく豊かな生活に

老若男女問わず、自分のことは自分でする。そのうえで、配偶者がいなくても別の仲間と楽しめる趣味を見つけておくのも、没イチになったときのリスクヘッジです。

こういうと、「没イチになったときのために趣味や友人を作るのか」と思われるかもしれませんが、普段から、配偶者とは関係なく過ごす自分の時間を見つけること、作ることは大切です。10組に1組のシニア夫婦には毎日会話がないという調査結果があります。しかし夫婦が別々に過ごす時間や別々に楽しむ趣味があれば、会話のネタも増えるでしょう。

立教セカンドステージ大学に入学してきたシニア男性の学生さんたちは、「大学に通うようになって、妻と話す時間が増えた」と口々に言います。「こんな友人ができた」「今日はこんな講義を聴いてきた」など、楽しい経験をすれば、それを誰かに話して、喜びやわくわくした気持ちを共有したくなります。そんな、人に話したくなるような時間を普段から作ることが、子育てが一段落したシニアにはとても大切なのではないでしょうか。

それこそが、配偶者と死別し、没イチになるというリスクに遭遇した時のダメージを、少しでも軽減することにつながる第一歩だと考えます。

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