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妻を亡くした男性は、余命が短くなる可能性が30%も高かった

「自立」が豊かな終活につながる

結婚をしたら、ほぼ半分の確率でどちらかが先に逝き、どちらかが残される。夫の突然死を経験し、同様の「配偶者を一度失った=没イチ」体験をした仲間たちと「没イチ会」を立ち上げた第一生命経済研究所の小谷みどりさんは、その経験を経て『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』を上梓した。

小谷さんに「配偶者を先に失うということ」について語ってもらった短期集中連載最終回の今回は、「没イチ」となってから豊かに生きるためにどうしたらいいのか、そして今から考えるべき「終活」とは何かを語っていただく。

 

男性はより「死別」の影響を受けやすい

実は、男女で比較すると、配偶者の死別は、女性よりも男性の方が影響を受けやすいことが明らかになっています。アメリカのロチェスター工科大学では1910年から1930年生まれの既婚者を分析し、配偶者との死別が寿命に与える影響を研究しています。2012年に発表された研究結果によると、妻を亡くした男性の余命は、同年齢の平均余命よりも短くなる可能性が30%も高かったそうです。しかし、夫を亡くした女性にはこうした傾向はみられなかったといいます。

その理由の一つは、配偶者に先立たれたあと、自活できるかどうかという問題です。身の回りのことや家事が自分でできるかということです。

夫の自立を妨げている妻

多くの男性は自分が妻よりも先に死ぬと思い込んでいますが、男性も長生きすれば、目論見どおりにはならないケースが増えています。夫婦が健在のうちから、妻との会話や関係を見直し、まずは夫の自立を目指すところからはじめていただきたいと思います。

「没イチ会」メンバーで、本の中で死別体験を語ってくれた三橋建一さんは、妻がいる間は、一度も自分で下着を買ったことがなかったそうです。

こんなのは高齢者だけだと思われるかもしれませんが、54歳になる私の同僚男性は、毎朝、シャツから靴下まですべて妻が揃えたものを着て出勤します。

ある日、「そのネクタイ、素敵ですね」と声をかけたら、「妻が買ってきたのかなあ」という答えが返ってきました。料理も一切、妻任せです。この同僚には子供はいません。妻に先立たれたらどうするのでしょうか。そう思って度々尋ねるのですが、いつも「どうしようかね。困るね」と言うだけで、まったく他人事です。

かいがいしく夫の世話をする妻は、夫にとってはかわいいのかもしれませんが、実は夫の自立を妨げているということに妻も気付くべきです。定年退職をした男性が、外出するときにどんな服装をすればいいのか分からず、結局、現役時代のスーツやゴルフウエアを着る人はまだまだ多いようです。自分が着る服ぐらいは自分で買ったり、コーディネートする技能を普段から身につけておいたりすることは大切ではないかと思います。