ついに「日銀バブル」のツケが回ってくるかもしれない

株価乱高下、銀行の乱脈融資…
藤田 知也

リスクへの備えが必要だ

というのも、日銀のETF保有残高は18年3月末時点で24兆円(時価ベース)。国内のETF全体の7割以上を買い占めた形で、まるで日銀に買われるために新たなETFが組まれているようなものだ。

東証1部の時価総額に占める割合は4%前後で、これを日銀は「まだ小さい」(黒田総裁)と侮ってきたが、個別銘柄に目を移せば笑えるような状況にはない。

ニッセイ基礎研究所の試算では、日銀が間接保有する株式の割合が5%超の企業は18年6月時点で127社。創業家などの固定株主をのぞく浮動株ベースでは、保有割合1割超が80社あり、なかでもユニクロを運営するファーストリテイリングは日銀シェアが約90%となり、今のペースなら来年には100%に到達する見込みだという。

追加緩和を重ねたことで生まれた経済のひずみは、他にも目立つようになってきた。企業や個人が借金を増やすことで経済の高成長につながる、というのが日銀のシナリオだったが、現実は目先の利回りを追う蠢きばかりが煽り立てられ、借金とリスクが過剰に膨らむバブルが出現している。

 

シェアハウス投資にはまった1200人超のサラリーマン大家たちが億単位のお金を借り入れ、相場より3~5割も高い物件をつかまされたのもその一端だ。価格が高騰するアパートやマンションに人生を賭す人の数はもっと多く、過剰な住宅供給や人口減少で多くの大家が破綻のリスクにさらされている。

かつてのバブルと異なる特徴は、「成長への期待」ではなく、「将来への不安」に突き動かされて、お金が投資などへ向かっていることだ。それは投機的な仮想通貨やお金の使途が不透明なソーシャルレンディングにまで大量の資金が注ぎ込まれた事象にも共通する。

一方、不動産投資向け融資で預金通帳を改ざんし、顧客の貯蓄や年収を水増しする不正が蔓延したスルガ銀行は、銀行間の競争が熾烈を極めるのを受け、焦る経営幹部が不可能なノルマを現場に押しつけ、壮絶なパワハラで行員を追い立てて高収益を維持していた。

そうして無理に貸しこんだ借金は焦げつくリスクが大きく、今後の業績の「火薬庫」と化している。他方で不正に頼らない銀行の多くは、利ざやの縮小で体力をすり減らし、国内の金融システムは脆弱さを増しているように見える。

大規模緩和で醸成された「日銀バブル」の末路に何が待っているのか。いまはまだ見通せないが、一つだけはっきりしているのは、現実に即したリスクへの備えが必要だということだ。

※スルガ銀行の不正融資や仮想通貨などの新型バブルの現場と、野放図な金融政策の内幕に迫った著者の新著