「ロコ・ソラーレ」勝利は二の次。何でも言い合えるチームを創った

カーリング・銅メダリストの告白②
本橋 麻里 プロフィール

もちろんそれは誰が悪いわけではありません。前述したように青森の方々は非常に熱意を持ってカーリングに向き合っていましたし、共に戦ったメンバーも、尊敬する先輩として、トップカーラーとして、今でも大切な友人です。

当時のカーリング事情では、従来のやり方では、五輪に行けるチームは編成できても、そこで勝てるチームは育たない。それをぼんやりながらも感じ、同時に、勝つチームをつくるためには時間がかかる。

そんな事実を突きつけられた気もしています。

 

「ああ、昔の私みたいだ」

チーム青森で得たそんな教訓をもとに、2010年に結成したのがロコ・ソラーレでした。

チーム発足の記者会見には多くのメディアに来ていただいて、「次のソチ五輪を目指すチームと考えていいですか?」といった質問をもらいましたが、「とんでもない。まずはコミュニケーションをとって、なんでも言い合えるチームにしたいです」と答えた記憶があります。

チームのメンバーは全員が常呂出身だったので、それぞれ名前と顔は知っていたのですが、一緒にプレーするのは初めて。

そのメンバーに初めて会った時、「いいチームにするためになんでも言ってね」と伝えたら、最年少の吉田夕梨花が「麻里ちゃん、私、本当になんでも言うからね!」と、宣言してくれたことが嬉しかったですね。

「ああ、昔の私みたいだ」と懐かしい気持ちにもなりました。私も先輩の(小野寺)歩ちゃんや(船山)弓枝ちゃんに遠慮することなく「私はこう思います! なんでダメなんですか?」って、かなり強く自分の意見を言う生意気ちゃんでしたから。

でも、その時にまた、歩ちゃんや弓枝ちゃんが何でも言える雰囲気をつくってくれて、その意見を受け止めてくれていたんだなと改めて感じ、温かい気持ちになりました。私も見習うべき点です。

お互い本音を言ったり、聞いたりすると、すごくスッキリするんです。そこから何かポジティブなことも生まれます。その後に初めて有効な解決策やアイデアも出てくる。

ぶつかって理解して、少し前に進む。ロコ・ソラーレはそれを繰り返して強くなっていければ理想だな、と思っていました。

アドヴィックス常呂カーリングホールにて

地域に愛され、元気にするチームを

また、実際にチームを動かしていくために必要なのは、コミュニケーションだけではありません。チームを運営するためにスポンサーを探す必要がありました。

チーム青森の時は、周囲の大人が担当してくれていたのですが、ロコでは私がやらないといけない。

チームコンセプト、そこに向かってのチームビルディングをスポンサーさんに説明するわけですが、まだまだ知名度の低いカーリングという競技で、さらに「4年に一度」の盛り上がりがあるかどうか。

そんな現状のうえに、「うちのチームはまずコミュニケーションを重視して、勝利や五輪は二の次です」とバカ正直に説明するのはどうなのかな、という迷いはありました。当然、スポンサーさんには何らかのメリットがなければいけない。

その迷いを打ち消してくれたのが、チーム結成以来、現在もチームのサポートを続けてくれている國分皮膚科の國分純先生でした。