2018.10.21
# スクールカースト # アメリカ

カバノー最高裁判事の性暴力疑惑に見る「米国のスクールカースト」

「イヤーブック」が写す光と陰
吉原 真里 プロフィール

イヤーブックのさらなる特徴として、メッセージ欄がある。何枚かの真っ白なページが付録のようにつけられているのだ。年度末にイヤーブックが配られると、生徒たちは友達にそれを回して、メッセージを書いてもらう。顔写真の隅にサインをする場合もある。

たくさんの友達に好かれていたと信じたくて、親しくもなかった相手にメッセージを頼む生徒も少なくない。簡潔で気の利いたメッセージを書く生徒もいれば、好きな相手でも何を書いていいのか困惑して「いい夏を!」だけで終わってしまう生徒もいるし、面と向かっては伝えにくかった思いを真摯に綴る生徒もいる。

 

イヤーブックと「ソーシャル・ネットワーク」

全生徒の顔写真がアルファベット順に同列に並び、生徒自身がプロフィール文で自己表現するページ。学校お墨付きのスターが堂々と並ぶ集合写真。生徒たちの人気投票により選ばれたパーソナリティたち。アルバム編集を担当した生徒たちの交友関係を大きく反映する学校生活や行事の写真。交友関係を映し出したり隠蔽したりするメッセージ欄。イヤーブックとは、これらが混在するアルバムである。

楽しい学校生活を送った人は、 イヤーブックを宝物のように保管し、卒業後長いときが経ってからもページをめくって懐かしい思い出に浸るいっぽうで、当時のことなど思い出したくもないと、イヤーブックを捨ててしまう、あるいはしまったまま二度と開かない人もいる。

写真や動画のデジタル化やSNSの普及によって、イヤーブックの機能や需要が低下し、紙媒体のイヤーブックを縮小したり廃止したりする学校も出てきている。さまざまな意味で、イヤーブックは、アメリカの学校生活の生態図でもあり、アメリカ社会の縮図でもある。そしてきわめてアメリカ的な「ソーシャル・ネットワーク」の前身でもある。

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