私たち日本人にとって温泉は身近な存在です。温泉に入り冷えた身体を温め、おいしい料理に舌鼓をうちながら、日頃の疲れを癒やすのは、とても心地よいひとときです。
温泉は古くから日本人の生活と深く関わってきました。古事記や日本書紀にも温泉の記述があり、道後温泉(愛媛)、有馬温泉(兵庫)、南紀白浜温泉(和歌山)などが最も古い温泉の一つとされています(諸説あります)。
しかし、そもそも「温泉」とは何なのでしょうか?
温泉は「温泉法」という法律で定義されています。地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、1) 温度が25度以上、または、2) 総硫黄、総鉄イオン等の19種類の物質のうちいずれか一つ以上含む、のが「温泉」です。
温泉というと温水をイメージしがちですが、温度が25度未満でも2)の基準を満たせば温泉となります。実際に、「冷たい温泉」もあるのです。
日本には3000以上の温泉があります。温度25度以上の温泉は火山地域に多く、低温の温泉は平野部や太平洋沿岸に多く分布しています。
東京や沖縄にも温泉があり、じつは、温泉がない都道府県はありません。日本はまさに「温泉大国」といえるでしょう。
温泉は、含まれている化学成分や、温度、液性(pH)、色、匂い、味、肌触りなど様々な性質(泉質)で特徴づけられます。
温泉の泉質は、温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量によって、「単純温泉」「塩化物泉」「酸性泉」「硫黄泉」など10種類に分類されます。
単純温泉としては道後温泉や湯布院温泉(大分)、湯の花によるお湯の白濁が特徴的な硫黄泉としては万座温泉(群馬)などが有名です。多くの方が温泉と聞いてイメージする特有のにおいは硫化水素が原因で、そのような温泉は火山地域に多くみられます。
同じ温泉(地域)でも源泉ごとに泉質が異なり、複数の泉質を有することもあります。泉質により、「湯ざわり」や「色合い」「におい」などが変わり、その効用もさまざまです。
温泉巡りは日本ならではの楽しみです。ではそもそも、日本列島でさまざまな温泉が楽しめるのはなぜでしょうか?