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有馬温泉の湯は600万年モノだった…目からウロコの「温泉の科学」

地震・火山大国の「癒し」のメカニズム
そもそも温泉とは何か、「火山性」と「非火山性」との違い、有馬温泉が「熱くて濃い」理由……。話題の書『日本列島の下では何が起きているのか』著者・中島淳一氏による「温泉の科学」入門をお届けする。

温泉大国、ニッポン!

私たち日本人にとって温泉は身近な存在です。温泉に入り冷えた身体を温め、おいしい料理に舌鼓をうちながら、日頃の疲れを癒やすのは、とても心地よいひとときです。

温泉は古くから日本人の生活と深く関わってきました。古事記や日本書紀にも温泉の記述があり、道後温泉(愛媛)、有馬温泉(兵庫)、南紀白浜温泉(和歌山)などが最も古い温泉の一つとされています(諸説あります)。

有馬温泉有馬温泉 Photo by Getty Images

しかし、そもそも「温泉」とは何なのでしょうか?

温泉は「温泉法」という法律で定義されています。地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、1) 温度が25度以上、または、2) 総硫黄、総鉄イオン等の19種類の物質のうちいずれか一つ以上含む、のが「温泉」です。

 

温泉というと温水をイメージしがちですが、温度が25度未満でも2)の基準を満たせば温泉となります。実際に、「冷たい温泉」もあるのです。

日本には3000以上の温泉があります。温度25度以上の温泉は火山地域に多く、低温の温泉は平野部や太平洋沿岸に多く分布しています。

東京や沖縄にも温泉があり、じつは、温泉がない都道府県はありません。日本はまさに「温泉大国」といえるでしょう。

御所泉源有馬温泉の7つの泉源の1つ「御所泉源」 Photo by Tzuhsun Hsu Flickr

温泉は化学的に10種に分ける

温泉は、含まれている化学成分や、温度、液性(pH)、色、匂い、味、肌触りなど様々な性質(泉質)で特徴づけられます。

温泉の泉質は、温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量によって、「単純温泉」「塩化物泉」「酸性泉」「硫黄泉」など10種類に分類されます。

単純温泉としては道後温泉や湯布院温泉(大分)、湯の花によるお湯の白濁が特徴的な硫黄泉としては万座温泉(群馬)などが有名です。多くの方が温泉と聞いてイメージする特有のにおいは硫化水素が原因で、そのような温泉は火山地域に多くみられます。

同じ温泉(地域)でも源泉ごとに泉質が異なり、複数の泉質を有することもあります。泉質により、「湯ざわり」や「色合い」「におい」などが変わり、その効用もさまざまです。

温泉巡りは日本ならではの楽しみです。ではそもそも、日本列島でさまざまな温泉が楽しめるのはなぜでしょうか?