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名前とは裏腹…ウイグル族対象「職業訓練センター」の恐るべき実態

看板を付け替えただけで、その中身は

イスラムテロ問題の陰に隠されたウイグル迫害

10月4日、欧州議会(European Parliament)はフランスのストラスブール本部で開催された会議で、「中国・新疆ウイグル自治区でウイグル族とカザフ族に対する大規模な強制収用が行われていること」に関する緊急議案を審議し、中国政府による宗教の自由に対する抑圧を非難すると同時に、被収容者の即時解放を求める決議を採択した。

この決議の背景をなすのは、米中貿易摩擦と並行して、米国で急速に関心が盛り上がった「中国・新疆ウイグル自治区においてイスラム教徒のウイグル族が再教育収容所へ強制的に送り込まれており、収容されているウイグル族は100万人以上に上っている」という人権問題だった。

2001年9月11日にイスラム過激派によって引き起こされた米国同時多発テロ事件(通称9.11事件)を契機にテロとの戦いを鮮明にした米国政府は、テロ対策で中国政府と協力する方針を打ち出し、中国政府の要請を受ける形で、2002年9月に中国からの東トルキスタン独立を目指す東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)をテロ組織に指定した。

ETIMがテロ組織の指定を受けたことを逆手にとった中国政府は、新疆ウイグル自治区に居住するウイグル族を主体とするイスラム教徒を、いつでもETIMに参加する可能性を持つ予備軍であると見なし、イスラム教徒に対する弾圧を強化して、イスラム色を弱める政策を取り、陰に陽にとイスラム教からの離脱を強制するようになったのである。

 

新疆ウイグル自治区の総人口は2015年末時点で2360万人であり、31ある一級行政区(省・自治区・直轄市)の中で人口は第25位であった。ちなみに、第24位は上海市、第26位は北京市であった。

同自治区には漢族と18の少数民族が居住するが、2015年末の民族別人口は、ウイグル族:1130万人(総人口に占める比率:48%)、漢族861万人(36%)、カザフ族:159万人(7%)、回族:102万人(4%)などとなっていた。

なお、弾圧によりイスラム教徒の人口は減少していると思われがちだが、イスラム教徒であるウイグル族を例に挙げれば、1978年末のウイグル族は555万人で、512万人の漢族とほぼ同数だったが、それから37年後の2015年末には1130万人となり、漢族の861万人を大きく引き離している。

漢族の人口増は新たな流入に依るところが大きいが、ウイグル族は出生に依る純然たる自然増である。