あなたが旅して一番満足できるイタリアの街はここだ!

性格によって変わります
田島 麻美

街並みもそうだが、郷土料理もオーストリアやフランス、スイスの影響を強く受けているため、チーズやバター、米やトウモロコシの粉・ポレンタをふんだんに使う。

いわゆる「地中海風イタリアン」は北の料理ではない。とはいえ、東京のように住民の大半が地方出身者のミラノのような都会では、本場ナポリの職人が経営するピッツェリアやシチリア人の地中海レストランなど、イタリア各地の本場の味も楽しめる(ただし、お値段は本場のそれよりもかなり高めだが)。

 

街の交通機関や博物館、ホテルやレストランなどもきちんと運営されているので、綿密な旅行プランを全て制覇したいと考えている几帳面なツーリストは北イタリアを目指せば満足度も高くなる。

北の郷土料理ポレンタと牛肉の煮込み

「予定は未定」と割り切れれば、中央イタリア

トスカーナ、ウンブリア、マルケ、そして首都ローマがあるラツィオを擁する中央イタリアは、「食いしん坊」が集まるエリアであり、古代ローマ、ルネサンス文化の中心地でもある。

その一方、大都市をちょっと離れれば、世界的なワインの産地があるのどかで美しい田園風景が広がっていたり、小高い丘の上にそびえる中世の城塞都市がいくつも点在していたりする。

イタリアの都会と田舎両方の顔が見られるのも、中央イタリアの魅力の一つだろう。

中央イタリアの旅は計画通りに行かないのが常だ。フィレンツェはどちらかというと北イタリアに近く混乱は少ないのだが、これがローマに来ると一変する。交通機関は遅延やストが日常茶飯事、喧騒とカオスが街中に溢れている。

この街で暮らしている私にとっては、「バスが2時間も来なかった!」というような話は珍しくもなんともない。今夏、ローマではメンテナンス不足による市バスの炎上事故が起こった。

幸い負傷者はゼロだったが、ローマ人の間では『テロより怖いローマの市バス』という痛烈な皮肉が飛び交い、行政は糾弾され続けている。

こんな街で、綿密なプラン通りの旅をしようとしてもストレスが溜まるだけである。

ワインの名産地で名高い、トスカーナ・オルチャ渓谷

では、どうすれば中央イタリアを満喫できるか?

私はいつも「一日にやりたいことを1つだけに決め、残りは “おまけ”と思ったほうがいい」とアドバイスする。例えば、「今日は10ヵ所見たい」と思っていると、決してその通りにはいかない。運よく6ヵ所見られたとしても「あと4つ行けなかった」という失望感が沸き起こる。

でも一日1つなら必ず実現できるから、まずはそれで達成感を得て、さらに余った時間でもっと希望が叶えばなんだかすごく得したような気分も味わえる。

郊外の田園地帯にはローマのような喧騒はないが、とにかくマイペースな人が多いため、「先の展開が読めない」という事態が待ち受けている。イタリア語を理解できても、「どうしてこの人はこういう行動に出るのか?」が理解できないのである。

その場合、「これじゃ予定が狂ってしまう!」と思うとストレスになるので、「あ、なんか面白いことが始まるかも」と頭を切り替える必要がある。

私が以前アッシジへ行った時、バスの運転手が突然停車して通りを歩いている知り合いとおしゃべりを始めたことがある。「長くなりそうだな」とため息をついたが、案の定おしゃべりは終わる気配がない。

仕方がないので私も相槌を打って話に加わってみた。すると、興に乗ったその知り合いはいきなりバスに乗り込んで来て、走行中の車内で運転手相手に大爆笑の漫才を繰り広げ、ルートを一周して元いた場所まで戻って行った。

「予定は未定」と割り切れる頭の切り替えが早い人にとっては、中央イタリアほど旅して楽しいエリアはない。びっくり箱を開けるような気持ちで来れば、きっと大満足の旅になるだろう。