利回り10%頭金ゼロ…? マンション投資「うまい話」の嘘を見抜け

借金地獄に陥らないために
荻原 博子 プロフィール

30年でマンションはボロボロに

例えば、年収400万円で専業主婦と2人の子供がいたら、年間に支払う所得税は3万円ほど。同じ家族構成で、年収800万円なら22万円ほど。年収1000万円なら52万円ほど。年収1500万円なら140万円ほど。

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節税というのは、払う税金が少なくなるということですから、税金を支払っている範囲内でしか節税はできません。

つまり、年収400万円の人だと投資用マンションでフルに節税できるとしても3万円程度ということになります。しかも、医療費控除やふるさと納税など、他の節税策を使っていない場合です。

では、年収1500万円の人なら140万円が返ってくるのかといえば、そうではありません。不動産投資で、赤字が出たら、そのぶんは税金が減らせるということなのです。不動産では、減価償却費と言って買った物件の一部をマイナス計上することができます。

例えば、1000万円で買った投資マンションが20年間利用できるとすれば、毎年50万円ずつ価値が下がるということなのでこのぶんを減価償却費とすることができます。ただし、これを収益から引くということなので、節税効果はそれほどないと思ったほうがいいでしょう。

冒頭の広告の、「サラリーマンでも節税になり実質年収のアップに繋がる」というのは、ないことはないかもしれないが、普通のサラリーマンではあまり節税効果がないということはわかってもらえたと思います。

 

では、「老後も年金代わりになる高利回りのマンション投資」というのは、どうなのでしょうか。

不動産会社の投資説明を見ると、驚くようなことが書かれています。投資用マンションは、最初の30年はローン負担があるのでそれほど利回りが上がらないかもしれないが、ローンを返済し終わると家賃が丸々収入になるので、利回りも上がって老後の年金代わりになるというのです。

物件は、年数が経てば老朽化してきます。特に他人に貸しているようなマンションは、傷みが早い。しかも、投資用物件の場合には、利回りを上げるための丁寧な修繕・修復ができないところが多く、30年も経てばボロボロで二束三文にしかならなくなっているケースも多いことでしょう。

しかも、これからは老朽化マンションが急激に増えてきます。

日本には、623万3000戸(2015年)の中古マンションがあります。さらに、相続税対策などで賃貸用の新しいアパートやマンションがどんどん建ってきます。加えて、少子化で1人っ子と1人っ子が結婚したら、家が1つ余る時代。今でも都心でさえ10軒に1軒は空き家で、野村総合研究所の試算では、2033年には空き家率は30%を超えるとのこと。

30年後、もしかしたら「老後の年金代わり」になるどころか、借り手がいないのにメンテナンスには多額の費用がかかる、お荷物になっているかもしれません。