2018.10.23
# 生態系・生物多様性

カイチュウ博士のお腹の中から「サナダムシ」が絶滅! 次は人類?

私たちが絶滅する理由、そしてその後
藤田 紘一郎 プロフィール

また最近、掘削技術が進歩したことにより、新しいエネルギー資源として注目されるシェール・ガス、シェール・オイルの元は、油分を含んでいる黒色頁岩(こくしょくけつがん)というもので、この生成にもやはり生物の絶滅が関係しています。

黒色頁岩黒色頁岩を含む地層 Photo by Getty Images

頁岩地層ができた地質時代には、地球規模での「海洋無酸素事変」が何度か繰り返され、その移行期には生物の大量絶滅が起きたと推定されています。

この海洋無酸素事変とは、海水中の酸素欠乏状態が広い範囲に拡大し、有機物を分解する好気性細菌や動物が生息できない状態となって、海洋環境の変化を引き起こす事象です。

この事象が起こると、大量の植物プランクトンや陸生植物、その他の生物の死骸が分解されないまま海底に堆積します。その堆積物が地殻変動で地下深くに埋まって大きな圧力がかかり、そこにシアノバクテリアや光合成硫黄細菌、黒色頁岩を餌にして生きているバクテリアなどの微生物の働きが加えられ、頁岩がつくられるのです。

昨今のシェール・ガス革命は、過去の大量絶滅がもたらした恩恵でもあったということです。

大量絶滅の後に起こること

このような大量絶滅の後には「大適応放散」が起きて、生物の多様性が増大するといわれています。

適応放散というのは生物の進化に見られる現象で、一つの祖先から多様な形質の子孫が出現することを指します。

地球上の寒冷化や温暖化、酸素濃度などの急激な環境変化により、恐竜など巨大生物の盛衰を経て、生き残った生物が環境に適応できるように多様性を増やしていくことです。

このように、種の絶滅の繰り返しは自然の流れであり、進化に必要なものだと考えることもできます。しかし、だからといって私たちが、これを無視したり静観したりしていてよいというわけではありません。

なぜなら、過去に比べると絶滅のスピードがどんどん加速してきているからです。 

絶滅のスピードは、西暦1600〜1900年には1年間で0.25種の生物だったのに対し、1975年以降、1年間に4万種の絶滅があるといわれていて、急激に上昇し続けています。

その原因のほとんどは人間の活動によるものです。食糧、薬、毛皮、装飾品作製のための狩猟乱獲、土地開発による生息地の破壊、生活排水や工場汚染物質排出などの環境汚染、貨物に紛れたり人為的に持ち込まれたりした外来生物の侵入などで、絶滅のスピードはますます加速し続けているのです。

イギリス科学誌の「ネイチャー」によると、今現在の生物が絶滅していくスピードを生態学者が計算した結果、今後数世紀にわたって数千種が消滅してゆき、最大で75%もの生物種が絶滅する可能性があるといいます。

また、英国ケンブリッジ国際保全センターのデレック・ティッテンサー博士は「生物多様性という点では状態は悪化している」とも指摘しています。

この切迫した状況を救うためには、一体どのような方法があるのでしょう。

一つ、もっとも確実な方法がわかっています。

それは、人間が地球上からいなくなることです。

人間が環境に与えてきた悪影響は、それほど深刻なことなのです。

  『残念な「オス」という生き物』(藤田紘一郎 著 フォレスト2545新書)
人類の絶滅を回避する意外な方法とは? 生物界のオスたちが教えてくれる、われわれ人類の深遠な真実

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