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米副大統領の「激烈中国批判」中国メディアはこう報じた

焦りと怒りが入り混じり…

米国防総省的中国観

アメリカ東部時間の10月4日に「投下」された「ペンス爆弾」が、中国で炸裂し、国慶節(建国記念日)の7連休(10月1日~7日)の祝賀ムードを吹き飛ばしてしまった。ハドソン研究所で行われた、マイク・ペンス副大統領の中国を激烈に批判した約50分の演説だ。

この演説は、ごく簡単にまとめると、次のような内容だった。

「今日私がここへ来たのは、尊敬するピルズベリー博士などに招かれ、アメリカ国民が知っておくべきことをお伝えしようと思ったからだ。それは中国政府が、政治的、経済的、軍事的手段及びプロパガンダを使って、アメリカに干渉してきているということだ。

そもそも中国が世界第2位の経済大国になれたのは、アメリカの投資によるところが大きい。それなのに中国共産党は、関税、割り当て、為替操作、強制的な技術移転、知的財産の窃盗などを行ってきた。中国の安全保障機関も、アメリカの最先端技術の窃盗の黒幕となり、大規模な軍事転用を図ってきた。

そして中国は、アジアの他国・地域を合わせた額の軍事費を投入し、アメリカ軍を西太平洋から追い出そうとしている。中国の指導者(習近平主席)は2015年にローズガーデン(ホワイトハウスの会見場)で、『(南シナ海を)軍事化する意図はない』と述べたのだ。だが実際には、人工島に軍事基地を造り、対艦ミサイルと対空ミサイルまで配備した。今週(9月30日)のイージス艦『デイケーター』に対する無謀な恐喝を見ただろう。だが、われわれは撤退しない。

 

中国は国内では、他に例を見ない監視社会を築いており、ジョージ・オーウェルが(小説『1984年』で)描いた人間生活の支配システムを構築しようとしている。また国外では『借款外交』によって、(ハンバントタ港を借入金のカタに99年中国に譲渡した)スリランカのようなケースを拡大し、軍事基地拡大を目指しているように見える。

最悪なことに、中国は(トランプ大統領とは)別の大統領を望んでいるのだ。アメリカの民主主義に干渉しているのだ。トランプ大統領が先週述べたように、『中国は今回の(中間)選挙に介入しようとしている』ということだ。

しかしわれわれの大統領が屈することはない。アメリカ軍はインド太平洋の全域で、アメリカの国益を追求していく。中国の知的財産の窃盗行為が終わる日まで、行動を取り続けていく」

このペンス演説を仕掛けたのは、冒頭にも名前が挙がっていたハドソン研究所のマイケル・ピルスベリー中国戦略室長(73歳)である。長年にわたって国防総省やCIA(米中央情報局)で対中戦略を担当し、中国の世界制覇の野望に警鐘を鳴らした『China 2049』は、日本でもベストセラーになった。

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私は3年前、ピルズベリー氏と中国問題について深く議論したことがある。氏は中国語に相当自信を持っていて、「どの国においても中国の専門家とは中国語がきちんと話せる人のことだ」と冒頭で言うので、以後は中国語で会話した。1時間の予定が、2時間を過ぎたところで、元英国ロイヤルバレエ団のバレリーナの夫人が現れて、お開きとなった。

ピルズベリー氏の主張は、簡単に言うとこういうことだった。

「私は以前、中国人とは話せば分かる、中国は発展すれば民主化すると信じて、多くの協力をしてあげた。だが今世紀に入ってある時点から、中国人とは話しても理解し合えないし、中国は発展しても民主化しないと悟った。それどころか、中国はアメリカを超えて世界の覇権を握る野望を抱いていて、いま叩かないと大変なことになると確信するようになった」

この「ピルズベリー史観」が、ペンス副大統領に、ひいてはトランプ大統領に伝染したのだろう。国防総省的中国観、もしくはCIA的中国観と置き換えてもよい。

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