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【中原圭介の大予測】命を救う医療と薬は「金持ちだけ」のものになる

命をカネで買う時代はもうすぐそこ
今日の常識が明日に通用しなくなる激動の時代。われわれがこの時代を生き抜くには、いま起きつつある大きな変化をしっかりと捉えることがなにより重要だ。そこで、トップアナリストの中原圭介氏が現代のニュースを読み解き、来るべき未来の経済を予測する連載企画『経済ニュースの正しい読み方』をスタートします。本庶佑さんがノーベル医学・生理学賞を受賞し、メディアでは抗癌剤のオプジーボが盛んに取り上げられました。今回のテーマは、それに関連して「医療費と命の問題」――。

2017年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳となり、ともに過去最高を更新(男性が6年連続、女性が5年連続)しています。

日本人の三大死因である癌、心疾患、脳血管疾患による死亡率の低下が平均寿命を押し上げており、医療技術の進歩によって、今後も平均寿命があと5~6歳は延びる可能性が高いといわれています。

その一方で、医療や介護に頼らずに日常生活を普通に送れる2016年の健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳。健康寿命の平均寿命との差は年々縮小しているとはいえ、多くの高齢者は男性が約9年、女性が12年以上にわたって、寝たきりも含めて医療や介護を受けながら暮らしているという事実も浮き彫りになっています。

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年間医療費が2000万円を超えるケースも珍しくない

国民皆保険制度では医療費の自己負担額に上限があり、高齢者の自己負担額はほんの一部のため、残りのほとんどは税金と現役世代からの支援金によってまかなわれています。

たとえば、72歳の一般所得者(目安として年収370万円未満)の場合、1カ月に100万円や200万円の医療費(入院が伴う)がかかったとすると、自己負担額は5万7600円にしかならず、残りの94万2400円や194万2400円は高額療養費制度から給付されるようになっているのです。

 

今の医療の現場では、医療費が年間で1000万円や2000万円を超える高齢の患者は、複数の病気を抱えていれば決して珍しいケースではありません。また、助かる見込みがなく延命のためだけの治療においても、100万円や200万円の治療費が当たり前のように使われています。医療機関は医療費を取り損ねるリスクが少ないため、高齢者の医療費が歯止めを失い湯水のように使われているのが実情です。