毎日ふたりで朝食を食べていたが、ひとりだと台所で食べたり…Photo by iStock

夫を突然亡くした私がその死を受け入れるために必要な「4つの課題」

7年経った今もできていないことがある

第一生命経済研究所で、死の研究をしている小谷みどりさんは、7年前に突然夫が自宅で亡くなった。その後、「配偶者を亡くした単身者=没イチ」の会、「没イチ会」を仲間たちと結成し、亡き人の分も人生を楽しもうという使命を共有して、定期的に会合を続けている。その経験を経てまとめた、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』という一冊から、配偶者を亡くした人がどうやってその死を受け入れることができるのか。必要な段階を具体的に語っていただく。

第一回「朝起きたら、横にいた夫が突然亡くなっていた日の話」こちら
第二回「夫の突然死後の腫れもの扱いが苦しい…『かわいそう』はもうやめて」こちら

 

ライフスタイルがどう変わるか

私は大学院を修了後、ずっと同じ会社で勤務をしていましたので、夫がいなくなったからといって、ライフスタイルが大きく変わることはありませんでした。平日は同じ時間に起き、会社に行くという、これまでと同じ生活を現在まで続けています。

夫の生前は、朝食は二人で食べていましたが、私一人になると、お行儀が悪くなり、台所に立って食べたりするようになってしまいましたが、出勤の準備をしながら見るテレビ番組は、ずっと変わりません。

住む家を変えずに済んだことも大きいです。私は、一生賃貸でいいと思っていたのですが、どうしてもマンションを買いたいという夫の意見を尊重し、亡くなる2年前にマンションを購入しました。将来の生活が不透明な時代にローンを組むのが嫌で、二人の貯金で買える範囲のマンションを探しました。

通常、住宅ローンには生命保険が付けられています。団体信用生命保険というもので、住宅ローンを返済している途中で、本人が死亡したり、高度障害になったりした場合、本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残高を支払うという仕組みです。銀行など金融機関のほとんどが、この保険の加入を住宅ローン借入れの条件としています。

ですから、もし夫が住宅ローンを借りていたら、夫が亡くなった後、夫が借りた住宅ローンは、その時点で完済されることになります。まわりの人から、「ローンにしておけばよかったのに」と言われることがよくありますが、それは結果論にすぎません。夫が元気でいれば、これから何十年も、マンションのためにローンを払い続ける生活をしていたわけですから、現金で買える程度のマンションにしてよかったと思います。

また私の夫は、生命保険に加入していませんでした。結婚したときに、共働きを続けるのであればどちらが先に死んでも、死別によって経済的に困るということはないので、死亡保険金は私たちには必要ないと判断したからでした。

お金はあればあったに越したことはないかもしれませんが、死亡保険金がないと生活が立ち行かなくなるという状況は、私たち夫婦の場合には想像しにくいことでした。子供がいなかったこともあり、自分の生活費は自分で稼ぐのは当たり前だと思っていたからです。

負け惜しみのように聞こえるかもしれませんが、夫が生命保険に入っていなかったことで、私はライフスタイルを変えずにすみました。私があの時、夫の死亡保険金を手にしていたら、「仕事をやめちゃおうかな」という思いが頭をよぎった可能性は否定できません。