先週火曜日(10月9日)、「国際通貨制度の番人」であるIMF(国際通貨基金)が世界経済の先行きに異例の警鐘を発した。
警鐘は「World Economic Outlook(世界経済見通し)」と「Global Financial Stability Report(世界金融安定報告)」という2つの定例報告書に盛り込まれたものだ。
それらによると、現状でも世界経済は、2018年と2019年の成長率が従来の見込みより0.2ポイント低い3.7%に減速する。加えて、貿易戦争の激化で投資意欲が減退したり、市場の混乱を招いたりすると、世界経済は巡航速度を維持できず、日本経済はマイナス成長寸前まで失速しかねない。
FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中央銀行)が進める金融正常化も波乱要素を持っており、中国を除く新興国から年間1000億ドル(約11兆3000億円)の資金逃避が発生して、世界は10年前のリーマン・ショックに匹敵する経済危機に陥るリスクがあるという。
保守的な国際機関が試算して見せた悪夢のような未来を検証したうえで、膨らむ一方のリスクに、我々はどう立ち向かうべきか考えてみよう。